第一法規株式会社|教育研修一覧

2010/04/13号

~社員と会社の関係は?労働契約ってなに~の巻

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季節は春、新入社員を迎える時期となりました。“ゆとり教育世代”などといわれている今年の新入社員のみなさんですが、同じ会社の新しい同僚として、温かく迎えてあげたいものです。さて、そんな新人の指導者に選ばれた足尾くん、なにやら鼻息も荒く準備に追われているようです。

よーし、やるか!

なんだか気合十分だけど、何かあったの?

実は、僕もいよいよ新人の指導者に抜擢されたんですよ。

(ばってき…)、そうなの、それはいろいろ大変ね。

ええまあ。昨日人事課で説明を受けてきたんですけど、毎月のOJT計画作成とかいろいろあって。あれっ、資料どこだっけ? わぁ!(探しているうちに机の上の書類の山が崩れる)。

(目をそらしつつ)新入社員にとって指導者は、会社の実務を一から教えてくれる先輩だから、その役割はとても重要ですよね(足尾さんでだいじょうぶかしら…)。

(書類を拾い上げながら)まあ、これまでの僕の実績をもってすれば問題なしですよ。

そ、そう。でも、社会常識がない若者も多いって聞くし。

ご心配なく! だからこそ、僕の出番ですよ。いろいろ言うよりも、まずは体で覚えさせます! あっ!(また書類が崩れ落ちる)

これじゃ、始める前から指導者失格ね、足尾くん!

あっ、えり先輩!

いつも課長に、「きちんと整理整頓するように」と言われてるでしょ。上司の指揮・命令に誠実に従わないと、「誠実労働義務違反」と言われちゃうわよ。

(誠実労働義務違反? なんだそれ・・・?)そんなおおげさなー。山積みの書類は仕事をしている証ですよ。

まったく足尾くんたら。現に、人事課からもらった資料がどこにあるかわからなくなってるじゃない。

そ、それはその…。

指導者になるなら、会社に入社したら社員は会社と労働契約を結んで、さっき言った「誠実労働義務」などを負うことを、新入社員にきちんと説明できないとだめなのよ。

労働契約、なんかまた難しそうな…。(誠実労働義務ってまた出てきたな)

会社は労働契約によって社員から労働力の提供を受けたり、その地位や処遇を決定したりするの。社員が契約した内容に違反した場合は懲戒する権利がある一方で、賃金を支払う義務などを負っているのよ。

それに対して社員は、会社の指示に従って労働する義務と賃金をもらう権利があるんですよね。

要するに、一生懸命に働けばお給料がもらえるってことでしょ。

それでは、職務に専念する義務は果たしているかもしれないけれど、不十分よ。社員は誠実に労働する義務も負っているのよ。

具体的にはどんなことが求められるんですか?

秘密を保持する義務、会社の財産や名誉を守る行為をする義務、会社の利益を著しく害する競業行為を避ける義務などよ。これらを企業秩序順守義務というの。

ふむふむ。

これは、労働契約が会社と社員の信頼関係を基礎としているからなの。だから、社員はただ単に労働力を提供すればいいというわけではなくて、会社の利益に配慮した誠実な行動が求められるということなのよ。

なんか、わかっていたようできちんと理解できていなかった気がします。

たとえば、たびたび遅刻をしたりサボったりしていると、労働契約違反で懲戒処分になることもあるのよ。新入社員には、こういった身近な例でコンプライアンスの知識を学んでもらうことが効果的ね。

わかりました! じゃあ、僕のOJT計画第1弾は「遅刻・サボりはご法度!」にしよう! 早速人事課に提出だ!

その前に、机の上を片付けてね!

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