第一法規株式会社|教育研修一覧

2010/04/27号

~資料作りでコンプラ違反~の巻

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新年度を迎えて早1カ月。この時期、新入社員の教育もまた先輩社員としての大事なお役目の一つ。一日も早く戦力になってもらうべく、足尾さんも先輩社員として研修準備に余念がないようですが…。

大麦さん。これ、来週の新入社員研修の資料なんですけど。

あら、足尾さん、指導者だけでなく、研修の講師もやるんですか?

そうなんですよー。僕のお題は「商品開発のノウハウ」なんです。

あれっ。この資料、どこかで見たことが…。

えへへ。さすが大麦さん、鋭いなぁ。実はこれ、今年の初めに一緒に受けた某社のセミナーのレジュメのコピーなんです。このところ忙しくて、資料を作る暇がなかったんで。

こらっ。足尾さんのしようとしていることは、著作権法に違反するわよ。

えっ、まさか。冗談きついなぁ。ははは。

ダメなの!著作者以外の人は原則として著作物を複製してはいけないのよ。

著作物って、セミナー資料が?

そうよ。小説や脚本、論文、講演その他の言語の著作物を言語著作物といって、外部セミナーのレジュメはこれに当たるの。小説や論文のように完結した1冊の著書のようなものでなくても、1個のまとまりのある文章であれば著作物といえるのよ。

でも、社内で使うだけなのに。

たとえば図書館などは公共に奉仕する機能を果たしているから、著作物の複製は一定の範囲で許されているし、学校などの教育機関で教育を担当する者は一定の場合には著作者の許諾なしに自由に著作物を利用できるの。ただし、企業の図書館や企業の資料室などは営利を目的としていることから、これらの対象からは外れているのよ。

へぇ、そうなんですか。

あと、個人的に使用したり家庭内のような限られた範囲で使用する目的であれば、私的使用ということで複製することも許されるわ。でも、足尾さんのように会社の業務上でということになると、著作権の侵害にあたるのよ。

著作権を侵害した場合はどうなるんですか。

損害賠償請求などを受けることもあるし、刑事告訴される可能性もあるわ。足尾さんは著作者の許可を得るか、コピー部数分の対価を支払うなどして、著作者の経済的損失を補う必要があるわね。

…気楽に考えてました。

ちゃんと資料を作りましょう。私も手伝いますから。

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