2010年6月30日に、改正育児・介護休業法が施行されます。子育てをしながら仕事を続けるための環境が整備されるなか、各職場における理解の促進と制度に対する周知徹底が求められています。
隣の部の部長さん、突然「来月から残業を免除してほしい」って部下からいわれたそうですよ。
その部下って、ひょっとして佐藤くんのこと?
そうそう、佐藤くんです。優秀な佐藤くんが、急に残業を免除してほしいだなんて、部長はそうとう驚いていたみたいですよ。
それは、部長もびっくりされたでしょうね。
そういえば、佐藤くん、確かお子さんが1歳になったばかりよね。
今回の改正育児・介護休業法施行で、3歳に満たないお子さんを育てている場合、残業の免除を申請できるようになったのよ。
あっ、えり先輩!
育児・介護休業法(育介法)っていう法律があることは、みんな知っているわよね?
それはもちろん知っていますっ!
育介法の大きな改正があったの。この改正が2010年6月30日、施行になるのよ。
そうだったんですか。それは知らなかったわ。
改正育介法では、3歳に満たない子を養育する労働者から申請があった場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定労働時間を超えて働かせてはいけなくなるの。
所定労働時間を超えて働かせてはいけない???
つまり、労働者は残業そのものの免除を申請できるってことですか?
そのとおり。ふたりともさえてるじゃない。子育てしながら仕事を続けやすい環境が、少しずつ整えられつつあるといえるわね。
なるほど~。でも、「事業の正常な運営を妨げる場合を除いて」というのは、どういうことですか?
いい質問だわ。残業の免除が事業の正常な運営を妨げるかは、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑などの事情を考慮して客観的に判断する必要があるとされているの。
会社側としては、繁忙期などで、やはり残業を免除するのは難しい、というときだってありますよねえ。
そうですよね。それに、残業の免除を申請している本人も、一時的に残業できる状況のときだってあると思うわ。
そうね、実際の運用にあたっては、さまざまな工夫が求められるでしょうね。改正育介法では、労働者の子どもの養育の状況、労働者の勤務の状況などに対応して、労働者のさまざまな状況に柔軟に対応することを、事業主に対して要求しているの。
柔軟性がポイントってことですね。
おっしゃるとおり。たとえば、労働者が一時的に子の養育をする必要がなくなった期間については、話し合いで所定労働時間を超えて労働することを認めるなどの対応が必要になってくるでしょうね。
そういえば、たしかこれまでも、小学生になる前のお子さんがいる人のなかには、時間外労働の制限を申請している人もいましたよね?
これまでも、小学校に入る前の子を養育している労働者は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働の制限を申請できたわ。だけど、奥さんが専業主婦だったり、旦那さんが育児休業中だったりした場合には、申請できなかったの。でも、今回の改正で、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合にも、請求することができるようになったのよ。
へえ~。ずいぶんいろいろな改正点があるんですね。
ほかにも、3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合に利用できる短時間勤務制度の創設が、事業主に対して、義務づけられるなどの改正点があるわ。
これまでは、「残業するのが当たり前」といった雰囲気などで、本当はお子さんが小さいから早く帰りたいと願っていても、残業せざるをえない人が、たくさんいましたよね。これで状況が改善されるかな?
それに、育介法が改正されたんだから、男性も育児休業を取得しやすくなるかもしれないなあ。
職場の理解を得て残業の免除を申請する男性社員も、きっと出てくるわね。
多くの男性の育児参加がすすめば、きっと男性も女性も、もっと働きやすい社会になりますよね!
それじゃ、ぼくもさっそく申請してみようかな!
足尾くんは、お子さんいないでしょ~がっ!!
【育児介護休業法の主な改正点(平成22年6月30日施行)】
1)短時間勤務制度の義務化(子が3歳まで)
2)所定外労働(残業)の免除の制度化(子が3歳まで)
3)子の看護休暇制度の拡充(一人なら年5日、2人以上であれば年10日)
4)パパ・ママ育休プラス(休業可能期間の延長)
5)介護休暇の制度化
※常時100人以下の労働者を雇用する企業については、1)、2)、5)については、
平成24年6月30日まで適用が猶予されます(予定)。
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