今年も折り返し地点を過ぎ、ここ商品開発部では、販売促進部と共同で、早くも年末商戦を睨んだ商品の開発を進めています。
足尾さん、年末キャンペーン用のノベルティ・グッズの発注書、出しましたか?
あぁ。こんぷら君人形ウィンターバージョンの件ですね。実はまだ仕様が固まってないんですよ。サンタクロース風ってところまで決まったんですが、トナカイ付きにするか、顔のヒゲはどうするか…。そういえば、筋野さんはトナカイとソリも付けろって言ってたっけ。
まぁ、みんな、好き放題ですね。
そうなんですよ。そんなわけで、仕様が決まらないと、原材料も決まらないから、当然、発注金額も決められないんですよね。
でも、既に発注しているんですし、発注書はすぐに出さないと。
そんなこと言われてもなぁ。仕様が決まって、金額がきまってからでいいんじゃないですかね。
ダメダメ! 下請事業者に対して発注時に発注書面を交付することは、発注する側、つまり親事業者の義務として下請法で決められているのよ。これを守らないと、50万円以下の罰金よ!
罰金って…。だいたい、作ってもらう物の仕様も金額も決まってないのに、発注書なんて出せませんよ。空欄だらけでいいんですか?
発注書面に記載する事項は、下請事業者が納入する物品の内容や、納品日、納品場所、下請代金の額、支払方法など、法令で決められていて、原則としてすべてを決定して記載しなければならないことになっているわ。
ほらね。
でも、取引の性質などから、発注書面の記載事項のうち「その内容が定められない正当な理由がある」と客観的に認められる場合には、例外措置として、その事項を記載せずに、発注書面を「当初書面」として交付することが認められているのよ。
なるほど~。確かに、今回のように最初にすべてを決められないケースもありますものね。
この場合、記載しなかった事項については、内容が定められない理由とその内容を定めることとなる予定日も「当初書面」に書き、当初書面に書けなかった事項は、内容が確定し次第、その事項を記載した書面を「補充書面」として交付するの。
なーんだ。そういう方法があったんですね。
ただし、下請取引は事前に条件を決めて書面にしておくのが大原則だから、この例外措置を多用してはダメよ。それから、発注書を出す際、下請代金以外はすべて書ける場合、下請代金の具体的な金額は書けなくても算定方法が示せるのなら、それを代わりに書いておけばいいのよ。
へぇ~。ちなみに、後から発注書面を出せばいい方法っていうのはないんですか?
こらッ! 面倒くさがるんじゃないのッ! 下請法違反なのよ!
親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、以下の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。
(1) 下請事業者の給付の内容
(2) 下請代金の額
(3) 支払期日および支払方法その他の事項
ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとする。
この場合には、親事業者は、それらの事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。
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