民間人同士では普通の行為であっても、公務員との関係では禁止されていることを知っていますか?
健康のために、ゴルフでも始めようかと思っているんです。
ゴルフは歩くスポーツだし、スウィングして大きくなりかけてきたおなか周りを引き締めようとしているのね。
それもあるけど、今度取引を始めた業者の営業の人が、ゴルフが大好きで、家も近くなので、ゴルフを教えてくれるって言うんです。クラブもくれるって。
ラッキーじゃない。
緑のなかで思いっきりボールを飛ばすのは気持ちいいみたいで、ぼくも教えてもらって、早くゴルフ場デビューしたいと思っているんです。
足尾さん、まずはゴルフの練習場からよね。
(スウィングのまねをしながら)それに、県庁の○○さんとも一緒にゴルフしたいな。
今、なんて言ったの!
あっ、えり先輩。
民間の企業の人と親睦をはかるためにゴルフをすることは問題ないかもしれないけど、国家公務員や地方公務員と一緒にゴルフをすることには、問題大ありよ。
そんなにカタイこと言わなくてもいいじゃありませんか。
国家公務員が利害関係者と一緒にゴルフや旅行をしていたら、職務の公正さに対する信頼が損なわれるでしょ。たとえ割り勘であってもゴルフやマージャンなどの遊技、それに旅行も禁止されているの。
ぼくがご一緒したいと思っているのは、県庁の人ですよ。
都道府県や市町村の地方公務員についても、国家公務員と同様の行為が条例で禁止されている場合があるから、注意が必要なの。
お休みの日にゴルフするだけですよ。
仮に、ライバル会社の人が公務員と一緒にゴルフをしているのを見たら、足尾さんどう思う?
それは、いい気分じゃないかも…。
でしょう。公務員は国民全体の奉仕者で、その報酬も税金から支払われているんだから、特定の個人・企業にだけ有利な取扱いをすることはできないし、中立性に対する信頼を疑わせるような行為は禁止されているの。
だったら、独立行政法人の人とは、どうなんですか?
独立行政法人の職員は、「みなし公務員」とされているので、公務員と同様の注意が必要になるわ。
それじゃもしも、学生時代から友人が国家(地方)公務員だったとしても、ダメなんですか?
そのような場合は、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがない場合に限り国家公務員倫理規程の適用が除外されているの。
よかった。県庁の○○さんは、大学時代の先輩なんですよ。その○○さん、今度、結婚するんです。ぼく、披露宴に招待されているんですが、ご祝儀をあげても問題ないですよね。
それを早く言ってよね。たとえ利害関係者であってもプライベートな関係なら大丈夫。問題はないわ。
ところで、「利害関係者」って誰のことですか?
「利害関係者」とは、許認可を受けて事業を行っている事業者、国から補助金を交付されている事業者などのことよ。
【利害関係者の例】
(1) 許認可等を受けて事業を行っている事業者(許認可を申請中の事業者や申請しようとしている事業者も含む)
(2) 国から補助金等を交付されている事業者(交付を申請中の事業者や申請しようとしている事業者も含む)
(3) 国の立入検査、監査または監察を受ける事業者
(4) 国から不利益処分を受ける事業者
(5) 国の行政指導を受ける事業者
(6) 内閣府または各省の所掌事業を行う事業者
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