第一法規株式会社|教育研修一覧

2010/08/10号

~法律違反にまつわる責任~の巻

line

今日はみんなで、暑気払いが開催されているようです。しかし、足尾さんはこのところの残業がたたって、眠っています。

足尾さん、乾杯したらすぐに眠っちゃいましたね。

このところ、忙しそうでしたもんね。

残念だけど、そろそろお開きよ。

足尾さ~ん!起きて!起きてくださぁ~い。

えっ、もうおしまい? ぼく、乾杯しか覚えていないよ。

足尾さん、乾杯したらすぐに眠っちゃうんだもん。もうっ。

いや、ほんとうに申し訳ないっ。それじゃ、ぼくがみんなを送っていってあげますよ。会社の車借りてこようっと!

ちょっと待って! それはダメ!! 乾杯だけでも酒気帯び運転よ!!!

大丈夫ですって。ちゃんと寝たし。

今は、お酒を飲んだ人が運転する車に同乗しただけで、罰せられる時代なんですよ。

運転する人にお酒を勧めただけでも、罪に問われるのよ。

そ、そうでしたっけ。

飲酒運転で、もしも通行人に重傷を負わせたとすると、裁判で自動車運転過失致傷罪や危険運転致傷罪に問われる可能性があるの。

そうしたら、刑事上の責任として懲役・禁錮・罰金が科されるんですよ。

それに、行政上の責任も問われるわ。つまり、都道府県公安委員会は、道路交通法にもとづいて、運転免許を停止するでしょうね。

…いわゆる「免停」って、やつですね。

それだけではすまないのよ。民事上の責任も問われて、被害者の治療費などの損害を賠償しなければならないことも忘れてはいけないわ。

ひょええ~。

足尾くん、まだあるのよ。もしもそんなことになったら、足尾くんは、会社から懲戒処分の中でも最も重い処分の懲戒解雇を言い渡されるおそれもあるわ。

それは、ちょっとまずいことになるな。

そうなったら、退職金も出ないですよ。

それは、ちょっとではすまないな。

もしも仮に、原因が業務上の行為で他の人に損害を与えたとなると、足尾くんの個人の問題だけでは済まなくなるわ。会社も「使用者責任」を問われて、被害者から損害賠償を請求されることになるわ。

仕事中に他の人に損害を与えたら、会社まで責任を追及されるんですか?

そうよ。たとえば、社員が事故を起こして第三者に損害を与えた場合などのように、社員が職務中に起こした不法行為の損害賠償責任は、使用者である会社も負わなくてはならないの。

足尾さん、車の運転はやめておいたほうがいいですよ。

雪だるま式に、次から次に責任を負わせられるんですね。

とにかく、法律に違反してはいけないの。わかった!?

はーい。それじゃ、今度はお酒を飲んでない日に、みんなでドライブしましょうね。ぼくが運転しますから。

【使用者責任】
ある事業のために他人を使用する者(使用者)は、雇用されている者(被用者)が職務を執行する際に第三者に損害を加えた場合に、その損害を賠償する責任がある。たとえば、営業車で事故を起こした場合などが典型である。

<< 一覧へ戻る

line