第一法規株式会社|教育研修一覧

2010/12/28号

~持ち出し禁止のデータを自宅に持ち帰ろうとした~の巻

line

営業から戻ってきた筋野さん。いつも元気な筋野さんが、ひどく疲れているようです。どうしたのでしょうか?

ダメだ。ぜんぜん終わらない・・・。

足尾さん、大丈夫ですか?それ、明日締め切りの新製品の企画ですよね?

そうなんです。あ~、どうしよう!!

お手伝いしましょうか?

大麦さんだって忙しいんだし、迷惑はかけられません!こうなったら、データを持ち帰って、家で続きをやってくるしかないな。うん!そうしよう!

でも、そのデータ、社外への持ち出しが禁止されているはずですよ。今日は部長が不在で、今からじゃ許可もとれないですし。

それは、わかってますけど、とにかく仕事を終わらせないと!

自宅に持ち帰ってデータが流出する事件とかよく騒がれてますし、危ないと思いますけど・・・。

パソコンごと持ち帰って作業しますから大丈夫ですよ!

う~ん・・・。

ちょっと、待った~!

えり先輩!!(よっしーも来てくれたんだ。よかった・・・)

絶対にダメ!足尾さんが持ち帰ろうとしている新製品の企画に関する情報は、不正競争防止法で規定されている「営業秘密」に該当する可能性があるわ。

営業秘密?

事業活動に有用な技術上・営業上の情報で、秘密として管理されていて一般には知られていない情報のことです。

はあ。

「営業秘密」として、法律の保護を受けるためには、「有用性(事業活動に有用な情報である)」「非公知性(一般には知られていない)」「秘密管理性(秘密として管理されている)」の三つの要件を満たす必要があるのよ。

「秘密管理性」を満たすためには、会社が定めた取扱方法を順守する必要があるんですよね?

そうよ。足尾さんが無断で社外へ持ち出してしまったりすると、「秘密として適切に管理されていなかった」として、誰かに不正に取得されても法律で保護されない可能性があるのよ。

法律で保護されない!?わ、わかりました。

それに、社外へ持ち出すと、持ち帰る途中でデータを紛失する可能性もあるし、自宅でインターネットに接続した場合に、ウイルス感染などによって、データがインターネット上に流出してしまう可能性もあるのよ。

インターネット上に流出・・・。そ、それは怖いです。

足尾さん、お手伝いしますから、頑張って会社で仕事を終わらせましょう!

そ、そうします!

◆営業秘密として法律で保護されるためには、<1>秘密管理性、<2>有用性、<3>非公知性の三つの要件を満たす必要がある
◆営業秘密は、会社が定めた取扱方法を順守して取り扱う必要がある
◆社外では社内で導入している安全対策の管理外になるため、情報が漏えいするリスクが高まる

<< 一覧へ戻る

line