2010年11月、ついにISO26000が発行になりました。日本でCSR元年といわれたのは、2003年のこと。社会的責任の取組みの新局面に、期待が強まっています。
ISO26000が、いよいよ発行となったわね~。
多くの企業が、今後の動向に注目しているみたいですね。
そうね。企業はもちろん、さまざまな組織から、注目度が高いわ。
企業に限らず、いろんな組織に関係があるんですよね!でも正直、ISO26000って、よくわかんないですよねー。
まあ、ほんとに正直ね。ひとことで言うなら、国際標準化機構(ISO)が定めた、社会的責任の実施についての手引きといえるわ。
社会的責任ってことは…、CSRとかと、関係が深いってことですか?
もちろん、企業の社会的責任とも、大いに関係があるわね。ISO26000の大きな特徴のひとつが、認証規格ではなくて、ガイダンス文書であるってことなのよ。
???どういうことですか?
たとえば、よく知られているISO9000や、ISO14001ってあるでしょ?
ISO9000やISO14001は、多くの企業が取得していますよね!
そうね。ISO9000は品質マネジメント、ISO14001は環境マネジメントの国際規格よね。
ってことは…、これからは、多くの企業がISO26000を取得するようになるのかあ。
ふふふ。ここが、まさにISO26000の大きなポイント。実は、ISO26000は、認証規格ではないから、取得するものではないの。ガイダンス文書であるISO26000は、第三者として認証を行うことはしないわ。
えっ?
たとえば、認証規格であるISO9000や、ISO14001は、品質や環境マネジメントについて、「規格が要求する水準を満たしていれば合格、水準を満たしていなければダメ」というふうに、認証を目的として使われる規格よ。一方、ISO26000は、認証を目的として策定された規格ではなくて、組織が社会的責任を果たすべく行動するにあたっての「指針」のひとつなの。
なるほど。だから、ガイダンスなんですね。
そのとおり。ISO26000の策定は、持続可能な発展という概念を、規格の世界に導入しようという試みといえるわ。企業や組織の社会的責任に、完成形はないからこそ、ISO26000は認証規格ではなくて、ヒントであり、手引きであるのよ。
そっかあ。企業が、自ら考え、行動していくことこそが、社会的責任ですものね!
企業を含めたさまざまな組織が、これからどのようにこのガイダンスを活用していくのか、今後の動向に大注目ね!!
・ 2010年11月に発行された、ISO26000 Guidance on social responsibility(社会的責任に関する手引)は、社会的責任に関する国際規格である。企業だけではなく、すべての組織が社会的責任を担っている。
・ ISO26000は、認証規格ではなく、ガイダンス規格である。
・ ISO26000では、社会的責任を果たすための7つの原則と7つの中核主題を掲げている。
○ 7つの原則:説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダーの利害の尊重、法の支配の尊重、国際行動規範の尊重、人権の尊重
○ 7つの中核課題:組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展
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