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2011/02/08号

~海外からの大量注文!そのまま受けてもいい?~の巻

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なんだかとってもうれしそうな足尾さん。いったいどうしたのでしょうか?

足尾さん、なんだかうれしそうね。

実は、A国の企業から、スピーカーの大量注文がきたんです。最近、売上がパッとしないから、今回の引き合いはラッキーだなと思って。

それはよかった。でも、ちょっと心配だな。A国内にはまだ戦闘地域が残っているみたいだから・・・。

どうしたの?なんか物騒な話をしているわね。

えり先輩!確か、兵器などに転用される可能性が高い製品は、輸出するために国の許可が必要なんですよね? スピーカーって、規制されている製品のリストに入っていませんでしたか?

確か、リストには入っていないはずよ。ただ、リストに載っていないからといって、国の許可なしに輸出できるとは限らないのよ。

え???

大麦さんが言っているのは、「リスト規制」のことよ。兵器などの開発に用いられる可能性の高い製品などの品名をリストアップして、国の許可がないと輸出できないように規制しているの。でも、リスト規制の対象外でも、用途や相手先によって兵器等の開発に転用されるおそれがあるものについては、「キャッチオール規制」といって事前の許可が必要になる場合があるのよ。

それなら大丈夫です。この商品はスピーカーだから、兵器とは無関係ですから。

日用品だから大丈夫と考えるのは間違いよ。「キャッチオール規制」では、ゴム製品や録音機、カメラなどもその対象にしているの。

うひぇー。

それなら、スピーカーも安心とは言えないな。ってことは、今月の売上が…。

いっそ、第三国を経由して輸出すればOKじゃないですかね。

冴えてきたな。これで今月の売上の心配はなくなったな。はっ、はっ、はっ。

二人とも何を言っているの! その場合でも、間に入る国は「経由地」とみなされて、あくまでも輸出先はA国になるの。輸出する相手の国を偽ると、「不正輸出」となって、悪質なときは刑事罰が科されるおそれもあるのよ。

そうだったんですか…。いいことを考えたと思ったのにな。

おいしい話だからってすぐ飛びつかずに、製品を輸出する場合は、規制の対象になっていないか、必ず確認するようにしてね。

はい!!

・安全保障の観点から、軍事転用をふせぐために、製品や技術を輸出する際に、国の許可が必要となることがある。
・輸出を行うにあたっては、リスト規制とキャッチオール規制の両方の観点から、対象物品等のチェックを行う必要がある。
・相手先を偽るなどの行為は「不正輸出」として刑事罰を科されるおそれがある。

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