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2011/02/22号

~営業秘密が漏えいしちゃった!?~の巻

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インターネットが発展し便利な社会になっている一方、企業秘密が漏えいする危険性が一層高まっています。足尾さんたちの職場でも何かが起きてしまったようですが…?

大変です!大変です!

足尾さん、そんなに慌ててどうしたんですか?

営業秘密が漏えいしたかもしれないらしいんですよ!この前退職した人が、営業秘密を自分のパソコンにダウンロードして、自宅に持ち帰っていたかもしれないらしくて。

えっ?!それは大変ですね!

今調査しているみたいですよ。本当に災難ですよね…。不正に営業秘密が持ち出されたとしても、それだけだと処罰の対象にはならないからな~。悪用されて大きな被害が出る可能性もあるのに…。

ちょっと待ったー!!

あっ、えり先輩!聞きました?大変なことが起きたかもしれないんですよ!

退職した社員が営業秘密を不正に持ち出していたかもしれないって話でしょ?そのことならもう解決したみたいよ。ダウンロードは仕事上で必要だったからきちんと手続きを踏んでやったことだったし、もちろん社外に持ち出していないことも確認できたって。ところで足尾くん、営業秘密の不正取得について、ちゃんと理解してないんじゃないの?

えっ?

営業秘密を不正な手段で入手しただけでも、処罰の対象になる可能性があるのよ。

ほんとですか!?営業秘密を不正に入手しても、不正な競争の目的で、使ったり第三者に見せたりしたことを証明できなかったら、処罰されないんじゃなかったでしたっけ?

足尾くんにしては勉強してるわね、と褒めてあげたいところだけどその知識はもう古いわ。不正競争防止法は2009年の改正で、そこのところが改められたのよ。

そういえばこの前、改正内容が施行されてから初めての逮捕者が出ましたよね?確か、会長に恨みがあった人が、サーバーに不正にアクセスして営業秘密を入手したとかで。

逮捕者も出てるんですね。

以前は足尾くんのいうとおり、不正に入手した営業秘密を、使用したり第三者に見せたりしないと処罰の対象にはならなかったわ。でも今は、使用したり、誰かに見せたりしなくても、横領したり、不正にコピーしたりしただけで処罰の対象となる可能性があるのよ。

処罰される範囲が、広がったんですね。

他にも、以前はライバル会社などのように、営業秘密を保有している会社と競争関係にあって、競争上、優位にたつためなどの目的が認められないと処罰の対象にはならなかったけど、金銭を得るなどの不正な利益を得る目的や、嫌がらせなどの保有者に損害を加える目的で行った場合も、処罰の対象となったのよ。

IT化などが進んだ結果、会社にとって重要な営業秘密を不正に取得されるリスクが高まりましたからね。営業秘密が手厚く保護されるようになって、よかったです!

なるほど…。勉強不足でした!世の中は日々変化しているんですね!

【不正競争防止法の改正のポイント(2009年改正・2010年施行)】
不正な利益を得たり、保有者に損害を加えたりする目的で、営業秘密を不正な手段で取得した場合、使用したり開示したりしなくても、営業秘密侵害罪が成立し、刑事罰が科されることになった。

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