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2011/05/24号

~暴力団なんて、僕には関係ないさ~の巻

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普通にビジネスをしていると思っていたのに、実は相手が暴力団だった?!そんな状況も、他人ごとではないかもしれません

筋野さん、いつも取引をしている、こんぷら産業の件なんですが…。

おうっ、こんぷら産業が、どうかしたのかい?

実は、この覚書を締結したいと言ってきてるんです。

どれどれ、…えっと、「反社会的勢力の排除に関する覚書」???…これはいったい何だ、たなやん?

さあ…。当社だけでなく、すべての取引先に対して、締結を依頼しているとのことですが…。

そうなのか。反社会的勢力って、暴力団とかのことだろ?

おそらく。急に、どうしたんでしょうねぇ。

ちょっとそこのふたり!!そんなのんびりしたこと言ってないで、はやくちゃんとその覚書の内容を確認してちょうだい!

あっ、えり先輩!

その覚書は、下請事業者も含めて、反社会的勢力と無関係であることなどをお互いに約束するものよ。

へえ~、そうなんですか。

最近は、多くの企業が、このような暴力団排除条項を、取引先との契約に導入したり、反社会的勢力を排除する行動規範を制定したりしているんです。

企業は、反社会的勢力排除の意識をどんどん高めているの。日本政府も、反社会的勢力排除のための指針をだして、企業関係者への普及啓発に努めているわ。

暴力団や総会屋などの反社会的勢力は、市民社会の秩序と安全に対する脅威ですからねっ。

なるほど。でも、そんなこと言われても、暴力団なんて、僕にはまったく関係ないですよ。

ですよねえ。さすがの筋野さんでも、関係ないですよねえ。

ふたりとも、甘いわね。たしかに、多くの人は、暴力団や反社会的勢力なんて、自分には関係がないって思うかもしれないわ。でも、一昔前と違って、暴力団の資金集めの方法が、大きく変わってきているの。

たとえば暴力団だからって、必ずしも暴力を振るったりおどしをかけたりするばかりでなくて、ふつうの企業に、ふつうのビジネスの取引を装って近づくケースが増えているんですよ。

そうなのかいっ?

だから、相手の素性を知らずに、まさか反社会的勢力の一員だなんて、思いもよらずに取引を始めてしまった、というような状況が、現実に起きているのよ。

そうなのか・・・。

そして、取引関係を始めた後で、不当な要求をしたりクレームをつけたりして、金品等を要求してくるの。

こわいですね。

たとえ不当な要求をしてきたりしなくても、暴力団の構成員や暴力団と何らかのつながりのある者と契約関係をもつことは、暴力団との密接な交際や暴力団への利益供与の危険を伴うことでもあるの。

そうですよね。

だから、こうした事態を回避するために、会社が標準として使用する契約書や取引約款に暴力団排除条項を盛り込むことが望ましいといわれているのよ。

なるほど。

暴力団排除条項を盛り込むにあたっては、反社会的勢力であるかどうかというだけではなくて、反社会的勢力であることを隠して契約を締結することや、契約締結後に違法・不当な行為を行った場合には、契約を解除できるということを組み合わせることが適切であると考えられるの。

契約関係に入ってしまっていても、相手方が違法・不当な行為を行った場合や、事実に反することを告げた場合には、契約関係を解除することができるということだな。

それで安心ですね。でも、もしも、自分がそういう状況に、巻き込まれてしまったら、どうしたらいいんですか?

とってもいい質問ね。万が一、個人としておどしを受けたり、おどしを受けそうになったりしたときには、ひとりで悩まないことが、なによりも大切よ。上司や専門部署に、すぐに相談することがすごく重要だわ。

組織で対応ってことだな。

そうなんですっ。不当な要求に応じることなく、反社会的勢力に資金を流してしまったりすることのないよう、組織全体で対応していくことが大切なんです。

反社会的勢力への対応にあたっては、個人が一人で悩まずに、企業としても、適切に弁護士や警察といった外部の専門家と連携して、毅然とした対応をとることが求められているわ。自社の事業のために、反社会的勢力の被害を防止することはもちろん、企業として社会に対する責任を果たすためにも、反社会的勢力を社会から排除していく努力が大切なのよ。

【反社会的勢力による被害を防止するための基本原則】
○組織としての対応
○外部専門機関との連携
○取引を含めた一切の関係遮断
○有事における民事と刑事の法的対応
○裏取引や資金提供の禁止
(犯罪対策閣僚会議「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」2007年6月19日 より作成)

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