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2011/06/14号

~お客様へのアフターサービスのメールで新商品の案内をしてもいい?~の巻

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なにやら相談をしているようすの筋野さんと足尾さん。そこへ大麦さんが足尾さんを探しに来て・・・。

よしっ、これでいいだろう。

うんっ、いい感じですね~。

足尾さん、ここにいたんですか? 探しましたよ。

大麦さん! ちょっと、いいことを思いついたんですよ~!

え?(嫌な予感がするわ) どんなことですか?

商品を購入してくれたお客様にメールを送るときに、新商品の案内もしようと思って・・・。

新商品の案内をメールで・・・ですか・・・?

あら、筋野さんと足尾さん、また悪だくみ中?

またって・・・。お客様に送るメールの文面を考えていただけですよ~。

お客様に送るメールって、もしかして広告メール? 広告メールにはいろいろな規制があるのよ。

知ってます! 電子メール広告は、あらかじめ、「送信して欲しい」「送信してもいい」という意思表示のあった相手にしか、送れないんですよね。

あら、足尾さん、勉強してるわね。

えへへ、ありがとうございます。ただ、この規制は、契約の内容や契約の履行に関する「重要な事項」を通知するメールに広告が含まれる場合は、適用されないんですよね?

そのとおりよ。たとえば、契約の成立や注文の確認、発送の通知などのやり取りに付随して電子メール広告を送る場合ね。ただし、消費者から見て明らかに重要でない事項にもかかわらず、それに付随して電子メール広告を送る場合は、適用は除外されないのよ。

今回は、新商品の案内に、購入した商品のアフターサービスの案内も加えているから、大丈夫なはずです。

ちょっと文面を見せてみて。「・・・画期的な商品がリリースされました! 本商品は・・・」って、これ、どう見ても新商品を宣伝するためのメールじゃない!

本当ですね。アフターサービスに関する案内は、最後に一文、「なお、購入済みの商品に関するお問い合わせはこちらへ」って書いてあるだけです。

でも、一応、案内してますよ。

足尾さん、確かに、購入した商品のアフターサービスなどに関わるメールに付随して電子メール広告を送る場合は、電子メール広告に関する規制の対象にはならないけど、それは、そのサービスが、契約を履行するために不可欠な場合だけよ。

つまり、契約を履行するために「不・可・欠・な」アフターサービスの案内の場合に限られるんですね。

そうよ。「一応」アフターサービスの案内をしているというのではいけないわ。だから、このメールの内容では、電子メール広告の規制が適用されることになるはずよ。

ってことは、出してはいけないんですか?

そういうことになるわね。新規商品の案内を送ってほしいと意思表示があったわけではないわよね?

はい。せっかく、いい宣伝方法を思いついたと思ったのに・・・。

電子メール広告を送る場合は、あらかじめ、お客様から請求や承諾を得てからにしてね。それに、承諾や請求を得る際には、「気づかないうちに承諾させられていた」ということにならないように、わかりやすく表示する義務もあるのよ。

やっぱり、簡単じゃないんですね~。

そうよ。電子メール広告の送信について、請求や承諾を受けた場合は、電子メール広告を最後に送った日から3年間、その記録を保存しておかないといけないから、気をつけてね。

わかりました。引き下がります。

【電子メール広告規制のポイント】
・ 請求や承諾を得ていない電子メール広告の送信禁止
・ 電子メール広告の送信を拒否する方法の表示義務と、拒否した消費者への送信禁止
・ 消費者からの請求や承諾の記録の保存義務

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