商品開発部を通りかかったみち。散らかっている足尾の机が気になって、足を止め・・・。
足尾さんのパソコン、付箋だらけですね。
やらないといけない仕事を書いて貼っているのさ。
もしかして、足尾さん、仕事たまってません?
うーん、そうかも。たまった仕事を一つずつ片付けて、この付箋をはがすのが楽しみなんだ。
ところで、この数字を羅列した付箋は、何ですか?
パソコンを立ち上げるためのパスワードだよ。
コラッ!
あっ、えり先輩!!
そういうことしちゃダメでしょ。
ダメなんですか?
パスワードは、会社のパソコンやデータベースの利用者を制限するために設定されているの。
なんで制限しないといけないんですか?
会社のパソコンやデータベースには、営業秘密に該当するような会社の重要な情報が含まれているでしょう。そうした情報が漏えいしてしまわないように、それぞれの情報に対して、権限のある人だけしか見られないようにする必要があるからよ。
なるほど。
営業秘密は適切に管理しないと法律で保護されないのよ。足尾さんのように、パスワードを付箋に書いて、他人から見えるように貼っていると、きちんと管理されていないことになって、万が一漏えいしても法律で保護されない可能性があるのよ。
それはまずいですね。じゃあ、メモするのは止めて、覚えやすいものに代えます。
覚えやすい? それも注意が必要なの。「生年月日」や「名前」など、他人から推測されやすい内容にしてしまうと、パスワードとしての役目を果しているとはいえないわ。
それじゃ、これからぼくのパスワードは「12345678」で決まり!
う~ん。数字や文字を順番にならべたりするのも、パスワードとしては効果がないわね。
でも、うちの会社では、パスワードは3カ月ごとに代えなきゃいけないルールになっているんですよ。覚えてられないですよ。
そう言わないで。パソコンのパスワードは重要な情報にアクセスするための「鍵」と同じなんだから。パスワードを書いた付箋を貼っておくことは、「鍵はここです」といっているのと同じことよ。パソコン内の情報が漏れるリスクを考えたら、そんなことできないはずよ。
それじゃ、えり先輩がお勧めのパスワードって、どんなものですか?
まず、文字数が多いこと。大文字・小文字、英数字、特種文字(@./!"#$など)などの文字の種類が多いこと。そして、単語ではなくて、ランダムな文字列であることね。
ランダムな文字列?ボク、そんなのとても覚えられないです~!
そうよね。じゃあ、たとえば、シフトキーを押しながら覚えやすい数字のキーを押すのはどう?
どういうことですか?
実際にやってみればわかるわよ。
(パソコンを操作しながら)
シフトを押しながら「1」を押すと「!」(びっくりマーク)が出てきたぞ。これっ、いいですね!
自分で覚えておけるもので、かつ他人から見たら意味のない文字列になるものを考えてみてね。
わかりました!いろいろ工夫してみます!
【パスワードを保護するための基本事項】
1 推測されにくいパスワードを使用する
2 定期的にパスワードを変更する
3 パスワードを他人から見えるところにメモしない
4 パスワードは絶対に人に教えない
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