お昼休みに熱心に新聞を読んでいるよっしー。そこへ足尾さんが通りかかって・・・。
よっしー、何か気になる記事があるの?
ここのところ、カルテルで摘発って記事をよく見るなあと思って。
確かにそうかも。ん?企業が自主申告したって書いてあるぞ。自分から申告するなんてエライな~。
足尾さん、何がエライって?
あっ、えり先輩!カルテルを自主申告したって書いてあったので・・・。
それは、リーニエンシー制度を利用するためだと思うわ。
リーニエンシー制度?
カルテルをしていたことを公正取引委員会に自主申告した場合、課徴金が免除される制度のことですよ。
課徴金が免除?!
課徴金だけではなくて、刑事告発や排除措置命令も免除される場合があるのよ。
すごい制度だなあ。
ふたりは、この制度が導入された理由を知っているかしら?
えっ、どんな理由なんですか?
カルテルって、秘密裏に行われるものでしょ?
そうですね。おおっぴらなカルテルって、カルテルじゃないかも・・・。
だから、カルテルは、発見するのも難しいし、たとえ発見されても、証拠を見つけて、カルテルの事実を証明することが難しいのよ。
そうか!そこでこの制度が登場するわけですね!!
そういうことよ。カルテルを発見しやすくするために、課徴金の免除という特典を得られるようにして自主申告を促しているの。
なるほど~。ところで、申告すれば、必ず免除されるんですか?
いい質問だわ。「課徴金全額免除・刑事告発免除・排除措置命令免除」という三大特典を得られるのは、公正取引委員会の「調査開始前に、単独で、最初に」申告した会社だけなの。
そうなのか~。
ただし、排除措置命令の免除を受けられるのは、今後同様の行為を繰り返すおそれがないと判断されたときだけよ。
2番目以降に申告してもダメなんですね。
課徴金の全額免除は受けられないけど、2番目に申告した会社は5割、3番目以降は3割の課徴金が減額されることになるわ。
最初に通報するのが大事なんですね。でも、最初に申し出ると業界で仲間はずれにされそうな気が・・・。
その気持ちもわかるけど、この新聞の記事のように、カルテルの事実を隠すのではなくて、自ら申告するほうが得策だという認識が広がっているといえそうよ。
ところで、調査が開始されたら、申し出ても免除されないんですか?
調査開始後でも課徴金減額の対象になる場合があるわ。カルテル参加者の協力を得て、事件を効率よく処理するという目的もあるからよ。
へえ~。
足尾さんも、筋野さんたちとなにやらよくない噂が聞こえているわ。申し出るならいまのうちよ~。
え?な、なんのことですか?
うふふ、冗談よ。カルテルへの参加は絶対にダメだけど、こういう制度があることは頭に入れておいてね。
はいっ!わかりました!
【公正取引委員会の調査開始後に減免を受けられる要件】
下記の要件をすべて満たせば、課徴金が3割減額される
1. 調査開始前の通報者が5者に達していない
2. 調査後の通報者が3者以内
3. 調査開始前の通報者の数と調査開始後の通報者の数の合計が5者以内
4. 調査開始日から20日以内
5. 公正取引委員会が把握していない事実の報告と資料の提出
6. 申し出た日以降に違反行為をしていない
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