足尾さんが、何やら、ぶつぶつ言っています。いったいどうしたのでしょうか?
工場の若手社員が、マニュアルを勝手に省略して作業してたって話、聞きました?
ええ。結局、さかのぼって作業をやり直すことになってしまったそうですよ。
マニュアルが複雑すぎるから、若手で検討して、手際よく作業をするためにやったみたいなのに、気の毒だよな~。
複雑だっていっても、必要な手順のはずですよ。
そういうけど、作りっぱなしで改訂もされないマニュアルに寄りかかるのもどうかと思うけどな~。
足尾さん、マニュアルの役割を勘違いしてな~い?
あっ、えり先輩!マニュアルの役割って、何ですか?
マニュアルは、会社や組織、個々の社員が蓄積してきた経験や知識、ノウハウを共有・伝承するためのものなのよ。
共有かあ・・・。
同じ業務について、効率化された手順で統一すれば、誰が担当しても一定以上の品質を保つことができるわよね。
そうですね。
でも、担当者によって手順が異なると、どうなるかしら?
担当する人によって、作業の品質が異なってしまうかも・・・。
非効率な作業を繰り返すことになってしまう可能性もあります!
そのとおり。それに最悪の場合、欠陥商品を提供してしまうおそれもあるわ。
けっ、欠陥?!
ミスなく作業するために整備してきたマニュアルの手順を変更することは、そういうリスクもあるってことよ。
そうですよね。一見省略してもよさそうな手順でも、重要な役割がある場合もありますよね。
そうか・・・。
マニュアルには、品質を保って効率よく作業をするためだけでなく、違法行為や不正行為を防止する役割もあるのよ。
違法行為、ですか?
そうよ。私たちの業務にはさまざまな法律が関係しているけど、社内ルールで定めたマニュアルは、それらの法律を守って業務を行うことができるように整備されているの。
マニュアルに従うことで、法律を守って業務を進めることができるんですね。
それに、業務が統一されることで不正を発見したり、防止しやすくなるのよ。
マニュアルって、いろんな役割を果たしているんですね。だから、多くの会社で、業務のマニュアル化が進んでいるんですね。
そうね。それに、内部統制システムの整備の必要性などもあって、業務プロセスのマニュアル化・文書化が進められているのよ。
そうはいっても、四角四面のマニュアル人間にはなりたくないな。
マニュアル人間になる必要はないのよ。マニュアルはこれまでの経験や知識の積み重ねから作られているんだから、都度見直しをかけて、ブラッシュアップしていけばいいのよ。
そうか!ブラッシュアップはしてもいいんですね!
もちろんよ。ただし、社内ルールで定められたマニュアルの手順は勝手に変更してはいけないの。必ず上司に相談をするようにしてね。
はい!今回の問題点は、ここだったんですね。
●マニュアルは、会社や組織、個々の社員が蓄積してきた経験や知識、ノウハウを共有・伝承するためのもの。過去の経験の積み重ねであり、会社の重要な財産である
●マニュアルには、品質を保って効率よく作業をするためだけでなく、違法行為や不正行為を防止する役割もある
●社内ルールで定められた、手順やマニュアルなどの規程類は必ず守る
●手順やマニュアルなどの変更が必要な場合は、上司に相談してから行うようにする
<< 一覧へ戻る