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2011/12/13号

~会社のために決算数字をつくる?!~の巻

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筋野さんが、何かをつぶやきながら、伝票とにらめっこをしています。なにやらあやしい気配がしますが…。

う~ん…。ここの原価をちょっと調整すれば…。う~ん。

筋野さん、大丈夫ですか?

おっ?おおっ。なんだ、よっしーか。

なんだか顔色があまりよくないみたいですけど…。

大丈夫だいじょーぶ。俺にかまわず仕事を続けてくれよ!

えっ、あ、はい…。でも…。

これで今回の売上もなんとか…。そうだよな、決算の数字をつくれてこそ一人前だよな。

一人でなにをブツブツ言ってるんだろ。いつにも増して、へんだなあ。

き~ん~の~さ~ん!!

あっ、え、えり先輩!

筋野さん、いったい何をたくらんでいるの!!

たくらんでいるだなんて、そんなそんな、人聞きの悪い。僕はただ、今月の売上がちょっと足らなそうだから、その、なんとかならないかと…。

まったく、ただならぬにおいがすると思ったら、とんでもないわ。いい?どんな理由があったとしても、売上や利益の水増し、損失隠しなどのために、不正に伝票や帳簿を操作することは、絶対にやってはダメよ。

いやいや、やってみようかなって、ちょっと一瞬、考えてみただけですよ~。

え~、ほんとですか?あやしいなあ。

本当に信用ならないわね。小さな金額であっても、1回だけであっても、ぜ~ったいダメ!! 「少しだけなら」「今回だけなら」「みんなやっているから」といった言い訳は通用しないのよ。

ふたりして本当に怖いなあ。わかりました、わかりましたよ、もう。わかっていますから。ほんとに、そんなことしませんから、安心してくださいよ~。

筋野さん、企業の会計は、事実を正確に反映したものでなければならないの。もし日々の会計処理と事実にずれがあると、取引の実態を適正に表すべき決算数値が、事実と異なるものになってしまうわ。

小さな数字のつじつまあわせが重なって、重大な粉飾決算につながってしまうことだってあるんですよ。

実態と異なる決算数値は、法律に違反するだけでなく、株主や取引先など、多くのステークホルダーを欺くことになってしまうのよ。会社の経営実態を決算数値に正しく反映させるためにも、日々の正しい会計処理がとても大切なの。

わかっています~。でも、会計上や経理上の不正な処理をしてしまう誘惑って、仕事をしていると、けっこう身近に、たくさん転がっているような気がします。「予算達成のためにはしょうがない」とか、「自分じゃなくて会社のためにやっている」とか、言い訳をしたくなるじゃないですか。

そうね。でも、不正な会計処理をしてしまうと、たとえ最終的な決算数値に影響しなかったとしても、予算や実績の管理をゆがめてしまったり、内部の規則等に違反したりすることになるわ。場合によっては、会社に対する詐欺罪になってしまうことだってあるのよ。

そうか、おそろしいな…。

しつこいようだけど、会計帳簿や伝票の記載は、関係法令や社内規則に従って、正しく適切に行うことがとても重要なの。会社には、不正な会計処理が発生しないよう、二重チェックの体制をつくるなど、社内体制をととのえる義務があるのよ。

「売上目標が未達成」といった悪い情報こそ、正確な情報を速やかに経営にあげていく仕組みと社内風土が大切だって考えられているんですよ。

たしかに、悪い情報こそ、はやくに共有される必要があるよな。共有されれば、みんなで軌道修正をして挽回することが可能だもんな。

そのとおり。

よくわかりました!!これからは、出来心を抱かないように、ココロを入れ替えてがんばりますー!!

◆企業の会計は、事実を正確に反映したものでなければならない。
◆会計帳簿や伝票の記載は、関係法令や社内規則に従って適切に行う。
◆企業の経営状況などをよく見せるため、売上の水増し、売上操作、費用の圧縮などの手法で決算内容を操作し公表することを粉飾決算という。
◆粉飾決算は、会社法や金融商品取引法等に違反し、場合によっては刑事事件となるおそれもある。
◆会社には、不正な会計処理などが行われないような仕組みをつくるなど、適切な内部統制を働かせる努力が求められる。

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