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2011/12/27号

~取引先の支払が遅れている!どう対応するべき?~の巻

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長年お付き合いのあるA社が、支払期日を過ぎても代金を支払ってくれません。たなやんがどうしたらいいのか、迷っている様子です。

う~ん。困ったなあ。

いったい、どうしたんだ?

実は、A社が支払期日を過ぎても、代金を支払ってくれないんです。

えっ、A社とは長い付き合いなのに、おかしいな。

えり先輩。急いで催促するべきでしょうか?

A社とは長年のお付き合いだし、いきなり催促するべきではないわ。まずは、支払が遅れている事情を確認するべきね。

わかりました。まずは、事情を確認することにします。

A社とのお付き合いは、当社にとっても大事よね。それを考えると、事情によっては、支払を猶予したり、支払条件を変更したりするほうがいいかもしれないわ。

そうなんですか?

その場合、取引先の代表者個人の保証をとるなど、新たな担保を設定することが必要になるかもしれないわね。

わかりました。ところで、もしもこれが、支払遅延を繰り返している相手先だったとしたら、とるべき対応も変わるんでしょうか?

そうね。事情を確認した上で、取引が解消してもやむをえないと判断した場合は、内容証明郵便による催告をすることになるでしょうね。

内容証明郵便って、なんですか?

郵便物の文書の内容について、郵便事業株式会社が証明するサービスのことよ。

聞いたことあるぞ。字数・行数に制限があって、字句の訂正の方法、受取人・差出人の記載方法にも、いろいろ決まりがあるんだよな。

確実に催告が債務者に到着したことを証拠として残しておくためには、「配達証明書付内容証明郵便」をお勧めするわ。

その配達証明書付内容証明郵便で催告すればいいんですか?

そうよ。ただし、内容証明郵便で支払の催告をしても、6カ月以内に正式な裁判を提起して請求しなければ、時効の中断理由にはならないから、注意が必要よ。

ところで、商品を納入した場合に売掛金を請求する権利は、何年で時効になるんですか?

支払期日から起算して2年で時効が成立するわ。ただし、それより前に、催告をすれば、時効を中断することができるの。

時効を中断させる方法には、どんなものがあるんですか?

そうね。催告以外に、裁判上の手続として、請求、差押え、仮差押え、仮処分、承認があるわ。

ちょっとわかりづらいな・・・。

ここでいう「請求」とは、裁判の訴えの提起、支払督促の申立て、和解や調停の申立て、破産手続参加などのことよ。

へぇ~。

「差押え」「仮差押え」「仮処分」は、取り消された場合には、時効中断の効力がなくなるから、注意が必要よ。「承認」は債務者が債権者に対して権利の存在を承認することで、たとえば、債務の一部弁済、利息の支払なども「承認」とみなされるの。

そうか、利息を支払う行為は、その債務の存在を認めたことになりますもんね。

それから、債権の種類によって時効の期間が違ってくるから、注意してね。商品の債権は2年で時効になるけど、小切手の償還債権は6カ月で時効になるの。

時効は債権の種類によって違うんですね。今回は、まだ支払期日を過ぎて間もないですし、まずは明日、A社に行って、事情を聞いてみます。

◆債権は一定期間行使しないで放置しておくと、時効によりその権利の行使は許されなくなることがある
◆時効を中断するには、請求、差押え、仮差押え、仮処分、承認がある
◆時効は、債権の種類によって期間が異なる

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