インターネットのなかに広がる無数のサイト。その住所のつけ方にも約束があるようです。
今度、新規に立ち上げるサイトのドメイン名なんだけど、集客力がありそうなのを思いついたんだよ!
あれ? このドメイン名、足尾さんが大好きなマンガのキャラクターと同じ名前じゃないですか?
あ、分かった? やっぱり仕事にも遊び心って必要だよね~。
その遊び心、違法の臭いがプンプンするわよ。
えっ?!
足尾さん、知的財産権について甘く考えていない?
知的財産権って、著作権などのことですよね? 僕、著作権違反はしていないですよ?
そうね。じゃあ、商標権についてはどうかしら?
商標権?
商標って、商品やサービスの出所を示す文字・図形・記号などによる標識のことですよね。たとえば、会社のロゴマークとか。
ふ~ん。でも、今回、商標は関係ないですよね?
いいえ、マンガのキャラクターは、商標登録されていることが多いのよ。
えっ? そうなんですか?
マンガのキャラクターが商標登録されている場合、商標権者は、そのキャラクター名を他の人に使用させない権利があるのよ。原則として、第三者が勝手にその名前をドメイン名に利用してもいけないの。
そうか、使えないのか…。それじゃ、一文字違いにしよっかなぁ~。
足尾さん、先行する第三者の登録商標と類似していてもダメなのよ。一文字違いにしても、類似と判断されるおそれがあるわ。それから、不正競争防止法では、不正の利益を得る目的や他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一または類似のドメイン名を取得することを禁止しているのよ。
なるほど…。
以前、第三者が有名企業や商品の名称に類似したドメイン名を登録して、ウェブ上でビジネスを行い、有名企業などの知名度や信頼を利用しようとした事件があったのよ。
類似のドメイン名を取得して、商標権者等に対して不当に高い価格で買い取らせようとした事件もありましたよね。
そういう事件が相次いだことがきっかけで、不正競争防止法が改正されたのよ。
マンガのキャラクターの人気にただ乗りし、マンガのキャラクターにそっくりなドメイン名を使用しようとした足尾さんは、不正競争防止法にも違反するんですね。
そういうことになりそうね。
まだドメイン名を登録してなくてよかった~。
それでは、ここで一度整理してみましょう。ドメイン名は、ネットワークに接続しているコンピュータの所在を示す文字列、いわばインターネットの「住所」にあたるものよね?
はい。
事業者は、ビジネスにインターネットを活用し、社名や商品名と関連のあるドメイン名を登録・使用しているわね。一方、消費者は、ドメイン名と企業名と商品名とを関連づけて認識するわ。
商品の名前がついたドメイン名は、他社との違いが明確ですよね。
商標には、「自社と他社の商品やサービスを識別する機能」つまり「区別させる機能」がもっとも重要な機能とされているの。
混同させないことが大切なんですね。
そうよ。ドメイン名には一定の顧客吸引力があり、企業などが営業活動を行ううえで重要な財産的価値があるのよ。
確かに…、僕もマンガのキャラクターに顧客吸引力を求めていました…。
事業者と消費者をインターネット上で結び付けるドメイン名は、事業者にとって、重要な価値があるわけだから、大切にしないとね。
◆ドメイン名は、単なる文字・数字等の配列を超えた重要な価値を有するに至っている
◆不正競争防止法で、ドメイン名は保護されている
◆ドメイン名は、商標登録されていることもある
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