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2012/05/22号

~販売価格は誰が決める?~の巻

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始業前に、新聞を熱心に読んでいる大麦さん。あるニュースが気になるようです。

再販売価格を拘束していたとして、スポーツ用品メーカーが排除措置命令を受けたんですね。

え? 「再販売価格」ってなんですか?

卸売店や小売店などは、自分で商品を作るのではなくて、メーカーなどから買った商品を販売していますよね。そのような場合の売値を「再販売価格」というんです。

そのとおりよ。メーカーなどが小売店などに対して、この「再販売価格」を拘束することが、独占禁止法で禁止されているの。

どうして禁止されているんですか?

市場における競争手段の重要な要素である価格を拘束することになるから、独占禁止法で禁止されているのよ。

独占禁止法って、独占的なシェアを誇っている事業者を取り締まる法律かと思っていました。

不公正な取引方法も、独占禁止法で禁止されているの。再販売価格の拘束もその一つで、シェアが小さいメーカーが行っても違法とされるおそれがあるのよ。

「再販売価格の拘束」って、具体的には、どういう行為が該当するんですか?

一つは、メーカーなどが卸売店や小売店などと販売価格について取り決めをするような場合ね。

はい。

それ以外でも、再販売価格維持を守らない業者に対して取引を拒絶したり、守るとリベートを与える場合なども「拘束」にあたるとされているの。

要するに、メーカーの仕事は相手に売るところまでで、自分たちが売った相手先が販売する際の価格には干渉しちゃダメっていうことですね。

そのとおりよ。

ところで、「メーカー希望小売価格」っていう表示をたまに見ますけど、あれはいいんですか?

メーカーが、参考として「希望小売価格」を設定すること自体は違法じゃないの。でも、いま説明したような方法で、指示した価格で販売するように要請すると、「再販売価格の拘束」として独占禁止法に違反するのよ。

わかりました。

ちなみに、本やCDなどの著作物については、例外的に独占禁止法の適用が除外されているわ。

なるほど。

再販売価格の拘束を一度行って、10年以内に再び行うと、課徴金の納付が命じられるのよ。

再販売価格の拘束は厳しく規制されているんですね。もう一度、おさらいしておきます!

◆メーカーなどが小売業者等に自社商品の販売価格を指示し、これを守らせることを「再販売価格維持行為」という
◆再販売価格維持行為は、市場の競争手段の重要な要素である価格を拘束するため、原則として禁止されている
◆書籍、雑誌、新聞、音楽用CD、音楽テープおよびレコード盤の6品目の著作物は、独占禁止法が禁止している再販売制度の適用が除外されている(ただし、電子書籍は、適用除外されない)

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