全国の都道府県で暴力団排除条例が施行され、半年以上が過ぎました。
条例に対しては、依然として高い社会的な注目が集まっています。
筋野さん、ご存知でした? 不動産業者が暴力団事務所として使われることを知っているときは、建物を賃貸してはいけないそうですよ。
へえー。どうして?
暴力団の運営に資することになると知って利益を供与することが、暴力団排除条例で禁止されているからだそうです。
ふ~ん。いろんなことが禁止されているんだな。まあ、こまかいことはよくわからないっていうのが、正直なところだよな。
そうですよねー。
ふたりとも、条例のポイントを把握しておく必要がありそうね。
あっ!
えり先輩!!
2011年の10月以降、すべての都道府県で暴力団排除条例が施行されているのよ。
暴力団排除条例って、具体的にはどんなことを定めているんですか?
まずは、暴力団排除条例の目的を確認しましょうか。
条例の目的ですか?
暴力団排除条例の大きな目的は、地域社会の平穏な生活や、事業活動の健全な発展を脅かす暴力団等の影響力をなくしていくことにあるの。
事業活動の健全な発展、ですか?
そうよ。だから、個人や企業、団体に対しても、暴力団と関わりをもたないことを求めているわ。地域ごとにそれぞれさまざまな暴力団排除条例が定められているけれど、条例の大きな目的は共通しているといえるわね。
なるほど。
そういう大きな目的を達成するために、たとえば東京都のように、暴力団の活動を助長したり、暴力団の活動に資する利益を供与したりすることなどが禁止されているの。
利益を供与することに、暴力団事務所として建物を賃貸することも含まれるんですね。他にはどんなことがダメなんですか?
気をつけたいのは、事業者が商品を販売し、相手方がそれに見合った適正な料金を支払うような場合であっても、利益供与にあたることがある点よ。
え?
暴力団事務所の賃貸だけではなくて、ホテルの支配人が、暴力団組長の襲名披露パーティに使われることを知った上で宴会場を貸し出す、ゴルフ場の支配人が、暴力団が主催しているゴルフコンペを開催させるといった行為も、利益供与違反となる例といえるわ。
相手が暴力団関係者であることを知っていたら、業務上であっても関わり合いをもってはいけないっていうことですか?
そういうふうにもいえるわね。
暴力団と社会的に非難されるべき関係があった企業が、公表されたり行政処分を受けたりする例が、全国で相次いでいますよね。
公表された企業のなかには、銀行などから取引を打ち切られたりして、会社がつぶれてしまったところもあるのよ。
もし暴力団等と社会的に非難されるような関係をもてば、経営破たんを免れたとしても、その企業に対する社会的信用が大きく失墜してしまいますね。
社会の意識が大きく変化していることを認識して、行動することが大切ね。
◆暴力団等の反社会的勢力の排除は社会的要請である。
◆現在、すべての都道府県において暴力団排除条例が施行されている。
◆暴力団排除条例では、暴力団等の影響力を社会からなくしていくために、暴力団の活動を助長したり、暴力団の活動に資する利益供与をしたりすることなどが禁止されている。
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