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2012/06/26号

~売れていない商品に豪華景品?~の巻

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足尾さんが、売上リストを見ながら、浮かない顔でなにやらつぶやいています。

僕が企画した商品、あんまり売れていないみたいなんだ。

う~ん、それは残念ですね。

そうだ、豪華な景品をつけて販売したらどうだろう? この際、採算は度外視だ!

足尾さん!  ちょっと待って。

あっ、えり先輩!

足尾さん、魅力のない商品に豪華景品をつけて、消費者を惑わそうとしていない?

惑わすなんて、そんなつもりはないですけど…。

景品をつけるなら、ちゃんとルールを守ってね。過大な景品類を提供して販売する行為は、景品表示法で規制されているの。

そうなんですか?

消費者が景品によって商品やサービスを選ぶようになると、実際には質の良くない商品やサービスを買わされてしまい、不利益を被るおそれがあるわ。

なるほど。

それに、もし、過大な景品による競争が事業者間でエスカレートしてしまったら、事業者は品質や価格といった商品やサービスそのものでの競争に力を入れなくなってしまうおそれもあるわよね。

確かに。

豪華な景品がもらえるのは、一見、消費者にとってメリットがありそうだけど、結局は消費者にとってマイナスになってしまうことにつながりかねないの。

そうですね…。

そこで、景品表示法では、景品類の提供に関して、最高額や総額などを規制することで、過大景品による不健全な競争を防止して、一般消費者の利益を保護しているわ。ここでいう「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、商品やサービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益のことよ。

具体的には、どんな規制なんですか?

景品表示法では、 (1)一般懸賞に関するもの、(2)共同懸賞に関するもの、(3)総付景品(そうづけけいひん)に関するものに分けて、それぞれ提供できる景品類の最高額や総額を規制しているの。

懸賞って、「抽選で○人にプレゼント!」ってやつですか?

そうね。商品やサービスの利用者に対して、抽選などの結果によって景品類を提供することね。複数の事業者が参加して行う懸賞を「共同懸賞」、それ以外のものを「一般懸賞」と呼ぶの。

一般懸賞の場合の決まりはどうなっているんですか?

景品類の最高額は、5,000円未満の商品の場合は価格の20倍まで、5,000円以上の商品の場合は10万円まで、総額は、懸賞にかかる売上予定総額の2%までとしているの。

共同懸賞の場合は?

価格にかかわらず、最高額は30万円、総額は売上予定総額の3%までと決められているわ。

細かい決まりごとがあるんですね。

ちなみに、「総付景品」とは、商品やサービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する景品類や、商品やサービスの購入の申込み順、来店の先着順によって提供する景品類のことよ。総付景品の場合は、最高額は、価格が1,000円未満なら200円まで、1,000円以上なら価格の10分の2までと定められているわ。それに、法律以外に、告示でのルールや、業界の自主規制として公正競争規約があったりするのよ。

まだ決まりが…!! 豪華景品付きで販売するの、いいアイディアだと思ったんですけど…、一度、出直します。

「豪華景品」は正しく提供してね。

はい! わかりました!

◆景品表示法では、景品類の最高額等を規制することにより不健全な競争を防止し、
 消費者の利益を保護している
◆景品表示法上の景品類とは、顧客を誘引するための手段として、商品やサービスの
 取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益のことである
◆(1)新聞業、(2)雑誌業、(3)不動産業、(4)医療用医薬品業、医療機器業および衛生
 検査所業の各業種について、業界の実情等を考慮して、一般的な景品規制とは
 異なる内容の業種別の景品規制が、告示によって指定されている


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