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2012/09/25号

~食品の表示、もっとわかりやすくなるの?~の巻

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昼食を終えた足尾さんと大麦さん。お店で買ってきたデザートを食べようとしています。

ん? このお菓子は、カロリーが書いてないな。

どうしたんですか? 足尾さんがカロリーを気にするなんて。

最近、おなか周りが気になって、食生活改善のために、低カロリーの食品を選ぶようにしているんです。

いい心がけですね! わたしもバランスのよい食生活を心がけたいわ。

食品を選ぶときに、表示を確認するようにしているんですけど、わからないことが多くて。「カロリーオフ」と書かれていると、わかりやすくていいですよね。

「現在の食品表示は複雑でわかりにくい」という足尾さんのような消費者の声を受けて、消費者庁が、新しい食品表示のあり方を検討しているところなのよ。

あっ、えり先輩!

たしか、「カロリーオフ」や「塩分控えめ」といった表示は、法令に基づいて表示がされているんですよね?

ええ。販売する食品に、日本語で、栄養成分または熱量に関する表示(栄養表示)をする場合には、「健康増進法」に基づく栄養表示基準が適用されているわ。

栄養表示基準、ですか?

消費者が食品を選択する際に、適切な情報を得ることができるように、加工食品の栄養成分等の表示について、一定のルールを設けているのよ。たとえば「塩分控えめ」など、特定の栄養素が適切に摂取できることを強調する表示についても、定められた基準を満たす必要があるわ。

食品の表示に関しては、「健康増進法」のほかにも、「食品衛生法」や「JAS法」など、複数の法令に規定がありましたよね?

そのとおりよ。それぞれの法令で、表示を求めている理由や目的、表示されるべき情報が異なっているのよ。

だから、わかりにくくなっていたんですね!

「健康増進法」では、国民の健康の増進を図るために、栄養成分と熱量に関する情報の提供を促しているわ。「食品衛生法」では、食品の安全性の確保のために、公衆衛生上必要な情報の提供を促しているの。「JAS法」では、消費者の選択に資するための品質に関する情報の提供を促しているわ。

う~ん、なんだか複雑ですね。

食品表示については、これまで時代の流れのなかで、世のなかの要請に応じて、目的にそっていろいろな法令で対応してきたの。その結果、複雑でわかりにくい制度になってしまっているという問題点が指摘されているわ。

たしか、法令によって用語の使い方も異なるんですよね。

それじゃあ、消費者にとっては分かりにくいですよね。

そこで、食品表示制度の一元化に向けた検討が進められているの。新しい制度では、食品の安全性の確保に係る情報が消費者に確実に提供されることを最優先にし、併せて、消費者の商品選択上の判断に影響を及ぼす重要な情報が提供されることが目的とされているわ。

食品ですから、安全性に関する情報は欠かせませんよね。

「食品表示一元化検討報告書」(消費者庁:2012年8月9日)では、アレルギー表示や消費期限、保存方法など食品の安全性確保に関する情報が、すべての消費者に確実に伝えられるべき特に重要な情報として位置づけられるとしているわ。

表示の見やすさも重要ですよね。

そうね。高齢者がきちんと読み取れる文字のサイズにする必要があるわよね。そのほか、たとえば栄養表示についても、すべての加工食品に対して表示を義務化する方向で検討が進められているようね。

消費者にとって、得られる情報が増えるのは助かりますよね。

でも、栄養表示の読み方や一日あたりの摂取目安量などの知識をもたなければ、せっかくの情報も活かせないわよ。

確かに…。

足尾さん、健康のためですし、一緒に勉強しましょう!

はいっ。よろしくお願いします!

◆食品表示制度は、厚生労働省が所管する「食品衛生法」「健康増進法」関連の制度と、農林水産省が所管する「JAS法」関連の制度に分かれていたが、現在は、いずれも消費者庁に移管
◆消費者庁では、(1)食品表示の一元化に向けた法体系の在り方、(2)消費者にとってわかりやすい表示方法の在り方、(3)一元化された法体系下での表示事項の在り方、の3項目について、「食品表示一元化検討会」において、検討を進めてきた
◆2012年8月9日に公表された「食品表示一元化検討会報告書」では、新しい食品表示制度の目的は、食品の安全性確保に係る情報が消費者に確実に提供されることを最優先に、併せて、消費者の商品選択上の判断に影響を及ぼす重要な情報が提供されることとしている

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