第一法規株式会社|教育研修一覧

2012/10/23号

~疑問を感じたら立ち止まろう!~の巻

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少し慌てたようすで商品開発部へ戻ってきた足尾さん。いったいどうしたのでしょうか?

肉の缶詰商品で使っている牛肉の仕入業者から、今月は仕入れ数が足りなくなりそうだと連絡がありました。

それは大変! あの商品は今とても売れ筋なのに。

ただ、いつもの肉よりも等級の高い肉なら手に入るので、同価格で卸してくれるというお申し出があったんです。

まあ、それはありがたいわ。でもそれならば、等級を表示した缶のラベルを刷り直さないといけないかしら?

えっ? 表示された等級よりも等級の高い肉で代用するんですよ? ラベルの表示をわざわざ直す必要があるんでしょうか?

う~ん。確かに、そのままの表示でも問題がないような気も…。でも、ちょっとひっかかるんですよね。

お二人さん、お悩みかしら?

あっ、えり先輩! 今回のような場合、つまり、商品の内容を、表示された品質よりも高い品質で一時的に代用するような場合、コンプライアンス上の問題は起こらないんでしょうか?

いい疑問ね。製品の表示は、購入者の商品選択に大きな影響がある重要な問題よ。消費者の不利益に直接つながる問題だから、法律等で多くの規制も設けられているわよね。

はい。たとえば食品の表示に関する法律だけでも、JAS法や食品衛生法など、たくさんの法律があるし、それらに基づく表示基準も複雑だと聞いています。今回の場合、景品表示法で問題になる、不当表示の問題が関係するような気もするんですが、優良誤認ではないような…。

えっと、優良誤認ってなんでしたっけ?

商品・サービスの品質や価格について、実際よりも著しく優良であると見せかける表示が行われると、消費者の適正な商品選択を妨げられることになるわよね。だから、景品表示法では、優良誤認表示をはじめとした、消費者に誤認される不当な表示を禁止しているのよ。いい人にみえて、実は悪い人だったら困るでしょ?

そ、そうですね…(えり先輩、目がマジになってる…)。

実際よりも質の低いものを高いものと偽って表示をするわけではないとすれば、景品表示法の問題にはならないかもしれないわ。ただ、実際に違反であるかどうかの判断は、さまざまな個別の条件によって変わってくるものよ。それに、もしも表示によって、消費者に事実とは異なる情報を伝えてしまうとしたら、問題となるおそれも高いわ。

なるほど。

消費者は企業に対して、製品の表示は正しいものであることを当然に期待しているわ。

そうですよね。過去には、たとえ違法行為ではなくても、社会の常識や期待とかけ離れた行為をしたことで、大きな批判を浴びた不祥事の例がたくさんありましたよね。

そうか…。僕が勝手に、「このぐらいいいだろう」と判断してしまうのは危険ですね。今回の対応、どうすべきか、至急関係部署と調整します!

それがいいわ!

ところで僕、悪そうに見えて実はいい人って、きらいじゃないんですけどね~♪

……(足尾さん、本当にわかっているのかしら…)。

◆表示は、商品やサービスの品質等を消費者に伝える重要なメッセージである。
◆業務のなかで、コンプライアンス上の疑問を感じたときには、立ち止まって確認をすることが大切である。

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