第一法規株式会社|教育研修一覧

2012/12/11号

~ライバル会社の顧客は半額?!~の巻

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昼休み、よっしーが、みちに声をかけました。

最近、A料理教室に通っているんですよね?

そうなの。簡単で美味しいお料理の作り方を教えてもらえるから楽しいわよ。

実は、B料理教室が、「A料理教室から移られる方は受講料半額!」っていうキャンペーンをしているみたいなんですけど、一緒に申込みませんか?

え? あの業界最大手のB料理教室が? でもちょっと問題な気がするけど…。

その通りよ!!

あっ! えり先輩!!

そのキャンペーンは、不公正な取引方法と判断される可能性があるわね。

不公正な取引方法、ですか?

公正な競争を阻害するおそれがある行為として、独占禁止法で禁止されていますよね?

そのとおりよ。その不公正な取引方法のうち、差別対価と判断されるおそれがあるわ。

差別対価、って何ですか?

不当に地域や相手によって、差別的な対価で商品やサービスを販売することよ。

地域や相手によって価格を変えたらいけないんですか?

地域や相手によって価格を変えたからといって、直ちに独占禁止法違反になるわけではないのよ。でも、有力な事業者が、競争相手を排除するために、競争相手と競合する販売地域や顧客に限って安い価格で販売したりすると、独占禁止法上問題となるわ。

なるほど。有力な事業者、つまり業界最大手のBが、競争相手であるAの顧客に限定して、不当に安い価格で販売しているから問題になるんですね。

そうよ。このような行為を放置してしまうと、有力な企業が、資金力にものをいわせて、競争相手のシェアが大きい地域に介入して、相手の資金力が尽きるまで安い価格で販売を続けて顧客を奪うことが許されることになってしまうわ。

そうなると、市場の公正な競争が妨げられるおそれがありますよね。

じゃあ、女性に限定するなど、顧客の属性によって価格を変える場合はどうなんですか?

すべての顧客を対象にしているのであれば問題ないわ。あくまでも同業他社の顧客を狙い撃ちにしている点が問題になるのよ。

わかりました。

差別対価のほかにも、共同の取引拒絶、不当廉売、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用などが、不公正な取引方法として禁止されているわ。

もしも違反してしまったら、どうなるんですか?

排除措置を命じられるわ。それに、優越的地位の濫用は継続して行った場合、それ以外は、同じ違反行為を10年以内に繰り返してしまうと、課徴金を課される可能性があるわ。

排除措置だけではなくて、課徴金も課される場合があるんですね。

不公正な取引方法はこれだけではなくて、公正取引委員会は、すべての業種に適用される「一般指定」と、特定の事業者・業界を対象とする「特殊指定」も定めているわ。

これらの禁止行為によって、市場の公正な競争が阻害されると、企業は、より安く、より良い商品を売るという企業努力をしなくなる可能性がありますよね。

そうなると、消費者のメリットが失われることになってしまうわよね。

私たち消費者は、企業が公正に競争し合っているから、商品が低価格になったり、サービスが充実したりして、自分のニーズにあった選択ができているんですものね。

競争があるから、企業は成長するし、経済も活性化するのよ。

◆独占禁止法では、不当に地域や相手によって、差別的な対価で、商品・サービスを供給することを禁止している。
◆差別対価、共同の取引拒絶、不当廉売、再販売価格の拘束については、同じ違反行為を10年以内に繰り返してしまうと、課徴金納付命令の対象になる。優越的地位の濫用は、継続して行った場合に、課徴金納付命令の対象になる。
◆公正取引委員会は、不公正な取引方法として、すべての業種に適用される「一般指定」と、特定の事業者・業界を対象とする「特殊指定」を定めている。

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