足尾さんとよっしーが、なにやら話し込んでいます。
足尾さん、この前、インターネットの通販で買ったダイエットサプリメント、効果が出ないし、不当表示だっていう話になりましたけど、その後、どうなりました?
見ての通り、効果が出ないままだよ(涙)。
「効果を得るためには一定の運動と食事制限が必要」っていう重要な情報が、商品ページのわかりにくい場所にリンクを張って掲載してあったんですよね。
「こんなんじゃ、絶対見落とす」ってお店に文句を言ったんだけど、結局ホームページは修正されないままだし、それっきりだよ。あ~、腹が立つなあ。
足尾さん、そういうときに使える制度があるのよ。
あっ! えりさん!!
足尾さん、「消費者団体訴訟制度」って知ってる?
「消費者団体訴訟制度」??
被害を受けた消費者に代わって、消費者団体が、事業者の不当な行為をやめさせるように裁判で請求できる制度なの。
僕みたいな被害者の代わりに、消費者団体が訴えてくれるんですか?
そうよ。被害を受けても、消費者が個人で訴えを起こすのは大変だし、仲間を集めるにしても、時間やお金のことを考えたらあきらめてしまう場合も、きっと多いわよね。
そうですね。
それに、被害が起きてから、1件1件、個別に救済していくやり方だと、被害を未然に防いだり、被害の拡大を防いだりするのにも限界があるわ。被害の未然防止などのために、事業者の「不当な行為」そのものの差止めを消費者団体が請求できるようにしたのが、消費者団体訴訟制度なのよ。
僕みたいに、「わかりにくい表示はやめて!」っていう訴えも対象になるんですか?
ええ。強引な勧誘、不当な表示、誤った内容の表示など、消費者契約法・特定商取引法・景品表示法を守らない、事業者の不当な行為であれば、差止め請求の対象になるわ。
制度を活用している事例には、どんなものがあるんですか?
消費者団体の申し入れによって、契約書の内容が改善されたりする例は多いわ。最近は、不当な契約や不当契約条項についての訴えが多いみたいね。
差止め請求できる消費者団体って決められているんですか?
差止め請求できるのは、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けた「適格消費者団体」に限られているのよ。
(ウェブで適格消費者団体を検索して) へぇ~、いろんな団体があるんですね。
どの団体も被害情報の提供を求めているから、足尾さんも、事業者に表示を改善してほしいと思うなら、まずは、情報を提供してみたらどうかしら。もちろん、被害の相談は、消費生活センターにもできるし。
わかりました! あのわかりにくい表示のせいで、僕がどんなにお正月太りに苦しんでいるか…!! まずは、被害情報の提供を、メールでしてみます!!
情報を提供するときは、事実をわかりやすく書くようにしてね。制度が活用されるためには、消費者が、トラブルに関する個別・具体的な情報を、きちんと適格消費者団体に伝える必要があるのよ。
◆消費者団体訴訟制度は、消費者団体が、消費者に代わって、事業者の不当な行為をやめさせるよう裁判で請求する制度である。
◆差止め請求できるのは、内閣総理大臣が認定した「適格消費者団体」だけである。
◆制度が活用されるためには、消費者一人ひとりが消費者トラブルに関する詳細な情報を適格消費者団体に伝える必要がある。
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