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2013/04/23号

~企業と生物多様性、その関係は?~の巻

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環境について関心が高い大麦さん。ニュースを見て、何やらつぶやいています。

絶滅のおそれのある野生生物を違法に捕獲、販売した場合の罰金額が引き上げられるみたいですね。

え? そうなんですか?

環境省が日本の野生生物について、絶滅の危険度をまとめたリストを公表しているんですけど、絶滅危惧種は増えていますからね。違法な捕獲や販売はもってのほかですけど、野生生物を保護するために、企業も、もっと積極的に取り組まないと!

え? 野生生物の保護に、企業も関係あるんですか?

そうなのよ、足尾さん。

野生生物の保護と企業って、僕にはちょっと結びつかないんですけど…。

足尾さん、「生物多様性」って聞いたことない?

生物多様性、ですか?

地球上には何万種もの多様な生物がいて、その一つひとつに個性があって、それぞれ支えあって生きているわ。こうした生物たちの豊かな個性と命のつながりのこと、つまり、バラエティに富んだ複雑で多様な生態系のことを、生物多様性というのよ。

生物多様性条約では、生態系・種・遺伝子という3つのレベルで多様性があるとされているんですよ。

へえ~。

生物の多様性が維持されているおかげで、私たちは、大気、水、土、生物などの自然の恵みを受けられるのよ。企業活動も、もちろん自然の恩恵を受けているわ。

一方で、企業が行う活動、たとえば、工場からの排水やばい煙による大気、雨、土の汚染によって生物が死滅するなど、生物多様性に様々な負荷を与えてしまっているんです。だから、企業は、積極的に生物多様性の保全に取り組む必要があるんですよ。

そうか、過度な伐採で森林が減少したりすることも、生物多様性に影響がありそうですね。

生物多様性基本法では、企業は、事業活動が生物の多様性に及ぼす影響を把握するとともに、生物の多様性に及ぼす影響の低減やその持続可能な利用に努める必要があるとされているのよ。

まずは、自分たちの活動がどんな影響を及ぼしているか把握するってことですね。

そうね。生物の多様性の保全を経営理念、経営方針などに取り込む企業も増えているのよ。「生物多様性宣言」、「行動指針」「ガイドライン」などを作成する企業も増えているわね。

企業だけじゃなく、僕たちのライフスタイルも環境に配慮したものに変えていく必要がありそうですね。

そうよ。環境保全に配慮して生産した商品を選ぶなど、その企業が生物多様性の保全に取り組んでいるかを商品購入の選択基準にする消費者も増えているわ。生物多様性の問題をおろそかにする企業は、CSRの評価が低下したり、ブランド力が低下する、などのリスクがあるといえるわね。

私も、商品を買うときに、環境活動に熱心な企業か、いつも気にしています。

ぼっ、僕も、大麦さんからの評価を落とさないように気をつけますっ!

◆生物多様性とは、生物の豊かな個性とつながりのことであり、私たちの生活や企業活動は、生物の多様性がもたらす自然の恵みの上に成り立っている
◆現在、社会経済活動による影響で、多くの生きものが絶滅の危機に瀕している
◆企業は、事業活動が生物の多様性に及ぼす影響を把握するとともに、生物の多様性に及ぼす影響の低減やその持続可能な利用に努める必要がある


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