犯罪収益移転防止法が改正され、2013年の4月から施行されています。
どんな内容なのでしょうか?
犯罪収益移転防止法の改正法が、4月に施行されましたね。
ん? なんだよ、急に物騒な話をして。
犯罪で得た資金が移転して、テロ組織や犯罪組織に資金が流れたり、事業活動などに使われたりすることを防ぐための法律の話ですよ。
資金の移転って?
いわゆる、マネー・ロンダリングといわれる手段のことよ。犯罪行為で得た資金を正当な取引で得た資金のように見せかける行為や、口座を転々とさせたり金融商品や不動産、宝石などに変えて資金の出所を隠したりすることね。
そんなことが行われているんですか…!
これらの行為を放置すると、犯罪組織が自由に使える資金を手にすることになってしまうわ。犯罪収益移転防止法は、マネー・ロンダリングを防止して、資金面から犯罪組織、犯罪行為の撲滅を目指すものなのよ。
犯罪行為の撲滅かあ…、僕には遠い話ですね。
足尾さん、そうとは限らないのよ。
え? どうしてですか?
銀行で口座を開設するときに、運転免許証などの本人確認書類の提示を求められるでしょ?
あれ、めんどうですよね。この前、お金を振り込んだ時も、本人確認書類を提示するように言われました。
それはね、犯罪収益移転防止法が、銀行などの金融機関に、預貯金口座の開設や、10万円を超える現金送金などの取引をする際は、取引相手の本人確認をすることを義務づけているからなのよ。
そうか。僕が犯罪によって得た収益を移転しようとしていないか、確認するためだったんですね。
そうよ。加えて、2013年4月からは、本人確認書類の提示だけではなくて、取引の目的や職業、法人の場合は事業内容の申告も必要になったのよ。
へえ~。ところで、銀行以外でも確認が必要なところがあるんですか?
ええ。これまでは、金融機関等、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者が対象だったけれど、今回の改正では、電話転送サービス事業者も対象事業者に追加されたのよ。対象事業者は、疑わしい取引の行政庁への届出、取引記録等の保存が義務づけられているの。弁護士、公認会計士、税理士なども一定の義務が課されているわ。
それに、今回の改正で、リスクの高い取引を行う際には、さらに厳格な確認が義務づけられるようになったんですよね。
リスクの高い取引って?
なりすましが疑われる取引など、マネー・ロンダリングのリスクが高い取引のことよ。具体的には、過去の契約の際に確認した顧客などになりすましている疑いがある取引などね。
厳格な確認って、具体的には?
通常の取引の際の確認書類にプラスして本人確認書類の確認が必要になるし、法人の場合は、株主名簿や有価証券報告書なども確認する必要があるわ。200万円を超える財産の移転を伴う場合には、資産と収入の状況確認も必要になるのよ。
対象事業者が、その取引が、届け出るべき疑わしい取引かどうかの判断を、より的確に行うためなんですよね?
そうよ。事業者は、その取引が、取引の目的や職業、事業内容などの属性情報に照らし合わせて不自然でないかどうかを吟味して、届け出るべき疑わしいものかどうかを判断する必要があるのよ。
複数のチェックをかけて、怪しい取引を防止しようとしているんですね。
もう、書類の提示がめんどうだ、とか言っていられないですね。
その通り!犯罪組織やテロ組織を撲滅するためなんだから、自分には関係ないなんて言ってはだめよ。法律の目的をしっかり理解しておいてね。
はい!わかりました!
◆犯罪収益移転防止法は、マネー・ロンダリングやテロ組織に対する資金移動の疑いがある取引を封じ込めることを目的とした法律である
◆2013年4月1日施行の改正法により、取引時に確認が必要な事業者が新たに追加され、取引時の確認事項が増えた
◆改正により、マネー・ロンダリングのリスクの高い取引においては、複数の本人確認書類の確認など、さらに厳格な確認が必要となった
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