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2013/12/10号

~消費税率引き上げへの対応~の巻

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2014年4月からの消費税率の引き上げにあたり、対応に焦るたなやん。
そんななか、足尾さんからある提案が…?!

価格の改定、値札の付け替え、請求書…、あ~、何から手を付けたらいいんだ~!

たなやん、珍しくイライラしているけど、どうかしたの?

消費税率の引き上げへの対応を考えていたらパニックになってきちゃって。

そんなに大変なの? 仕入れ先にお願いして増税分を割引してもらえば? 価格を改定しなくていいから作業が減るんじゃない?

え? でも、そんなお願いしていいのかな…?

お願いするだけしてみなよ。長い付き合いの相手だったら、大切な取引先として配慮してくれるんじゃないかな。

そこの二人、盛り上がってるわね。どうかしたの?

実は、価格改定など、消費税増税の対応が大変なので、足尾さんに相談していたんです。

じゃあ、ぼくはこのへんで…。

足尾さん、慌てているけどどうかしたの? もしかして、価格を改定しなくていいように、増税分を納入業者に負担させるようアドバイスしていたとか?

うっ、するどいですね。いまの話、聞こえてたんですか?

足尾くんのアイディアなら大体予想できるわ。ところで、二人とも、「消費税転嫁法」が施行されたことを知らないの?

消費税添加法? 食べ物みたいな法律名ですね。

「添加法」じゃなくて、「転嫁法」よ。中小の納入業者が、増税分を円滑かつ適正に商品価格に転嫁できるようにするための法律よ。この法律では、大規模小売業者は中小の納入業者等が増税分を価格に転嫁することを阻害する行為をしてはならないと定めているのよ。

いまの話は、その「転嫁」を阻害してしまう行為に当たるってことですか?

そうね。消費税の増額分を相手に値引きさせると、禁止行為に当たる可能性があるわね。

具体的には、どんな行為が禁止されているんですか?

消費税の転嫁を認めるのと引き換えに消費税相当分の経済上の利益を求めることや、消費税分を上乗せした価格で契約していたのに後から消費税分を減額したり、税抜き価格で取引価格を交渉したいという中小納入業者からの申し出を拒むなどの消費税の転嫁を拒否する行為が禁止されているわ。

増税分を商品・サービスの価格に転嫁することを拒んで、相手に負担させてはいけないってことですね。

そのとおりよ。それから、「消費税は当店で負担します」「消費税率上昇分を値引きします」「消費税相当分を、次回の購入に利用できるポイントを付与します」などの表示をすることも禁止されているわ。

どうしてですか?

消費税は、「消費者が負担し、事業者が納付する税金」だから、消費者に、消費税は事業者が負担してくれると誤認を与えてはいけないからよ。それに、納入業者への買いたたきにつながったり、競合する小売店が消費税を転嫁することを阻害するおそれもあるからよ。

わかりました。消費税は適正に転嫁する、ということですね。地道に作業することにします。

消費税転嫁法では、値札の貼り替えなどの事務負担を軽減するための特例も設けられているのよ。表示価格が税込価格と誤認されない措置をしていれば、「税込価格」を表示しなくても構わないのよ。

そんな特例があるんですね! 早速、みんなに伝えてこよう!

ちょっと待って。現に表示している価格が税込価格ではないことを確実に伝える措置をしないと、特例は認められないのよ。それに、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならないのよ。

いろいろ気を付けないといけないことがあるんですね。

まずは、ちゃんと勉強することにします!

消費税転嫁法のポイント
◆大規模小売業者等に対して、取引先の中小の納入業者等が消費税増税分を商品等の価格へ転嫁することを拒否する行為は、禁止されている

◆「消費税還元セール」などの消費税に関連するような形での宣伝や広告が禁止されている
◆総額表示義務の特例により、本体価格のみの表示が認められる場合がある

◆中小企業等が共同で、消費税の転嫁と表示の方法について決める「転嫁カルテル」「表示カルテル」が認められる

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