第一法規株式会社|教育研修一覧

2014/04/22号

~インサイダー取引の芽を摘むために~の巻

line

インサイダー取引についての記事を読んでいた足尾さん。ふと疑問がわいたようです…。

う~ん。 なんかおかしいような…。

足尾さん、どうかしたんですか?

インサイダー取引って、未公表の重要事実を教えた人もいけないと思うんですよ。

ええ。教唆犯・ほう助犯として処罰されますよね。

でも、教えた相手が取引をしたら共犯として処罰される可能性があるけど、相手が取引をしなければ、おとがめはないんですよね。

そのはずですけど。

そもそも重要事実を教えなければインサイダー取引自体おきないわけだから、まず情報を伝える行為自体を規制するべきだと思うんですよね。

足尾さん、いいところに気が付いたわね。

そうですか? えり先輩♪

去年、金融商品取引法が改正されて、これまでは未公表の重要事実を伝える行為や取引をすすめる行為自体は規制されていなかったけど、4月から規制の対象になることになったのよ。

やっと僕のセンスに世の中が追い付いてきた感じだな~♪

(小さい声で)改正法は去年制定されているんだから、実際には、世の中の変化に足尾さんが追い付いてきた、というのが正確な気が…。

ふっふ~ん♪ えり先輩。今の話、詳しく教えてください!

説明するわね。会社関係者などが、利益を得させたり、損失の発生を回避させたりする目的で、公表前の重要事実を伝える行為と、その事実を知った上でその会社の株の取引をすすめる行為が規制されることになったのよ。

なるほど~。会社関係者って、具体的にどんな人が含まれるんですか?

会社関係者には、従業員はもちろん、役職員、パート、アルバイト、取引先、弁護士なども含まれるのよ。

インサイダー取引規制の対象と同じですね。じゃあ、元会社関係者も含まれるんですよね?

ええ。会社関係者でなくなってから、1年以内の人も含まれるわ。それから、重要事実そのものを伝えなくても、その存在をほのめかして取引をすすめる行為も規制の対象になったのよ。

インサイダー取引をそそのかしているのと同じことですよね。

そうね。相手が、伝えられた情報や取引をすすめられたことに基づいて株の取引をしたら、情報を伝えたり取引をすすめた人は、課徴金の納付命令や刑事罰の対象になるわ。

わかりました。最後にしつこいんですけど、相手がたとえ取引をしなくても、情報を伝えたり取引をすすめたりしたら、金融商品取引法違反になるんですよね?

そのとおりよ。そこが今回の改正のポイントよ。

インサイダー取引の芽を摘むための改正っていうことですね。

足尾さんもいいこと言うわね~。

でしょ、でしょ!

(小さな声で)たまには、ね。

そうですね(笑)。


◆これまでは、未公表の重要事実を伝える行為自体は規制されていなかった
◆金融商品取引法が改正され、会社関係者等が、利益を得させたり損失の発生を回避させたりする目的で、未公表の重要事実を伝える行為(情報伝達行為)と、その事実を知った上でその会社の株などの取引をすすめる行為(取引推奨行為)が禁止されることになった
◆情報伝達行為や取引推奨行為に基づいて、相手がインサイダー取引をした場合、情報を伝えたり取引をすすめた人は、課徴金納付命令、刑事罰の対象となる

<< 一覧へ戻る

line