お昼休みに、スマホのニュースサイトを熱心に見ているよっしー。そこへ足尾さんが通りかかり…。
よっしー、どうかしたの?
「入札談合で公正取引委員会が立ち入り検査」っていうニュースを見ていたんです。
入札談合って、カルテルの一種? 実は、よくわかってないんだよね~。
え? 足尾さん、今さらそれはまずいんじゃ…。
足~尾さ~ん! どうやら、くわしい説明が必要みたいね。
す、すみません! ぜひくわしく教えてください!!
まずは、カルテルについて、説明するわね。
お願いします!!
カルテルは、複数の事業者同士が商品の販売価格や供給する量などを取り決めて、市場での公正な競争を阻害することよ。
そこまでは、なんとか…。
入札談合は、公共事業や物品の公共調達などに関する入札で、入札参加者が話し合って、事前に受注事業者や受注価格を決めてしまうことをいうの。
カルテルの一形態で、独占禁止法が禁止する不当な取引制限にあたるんですよね?
そのとおりよ。国や地方公共団体などが発注する公共工事などの契約は、公平で自由な競争を通じて受注者や受注価格を決定するために、競争入札が原則なの。入札談合は、この入札制度の根幹を揺るがす悪質な行為よ。
適正な価格での発注を阻害するから、納税者である国民や住民の利益を損ねることになりますよね。
確かに、自由な競争があれば、より安価で品質の良い工事や物品を調達できたはずですもんね。
入札談合では、工事を発注する国や地方公共団体等の職員が関与する官製談合も問題になっていて、これを防止するための法律もあるのよ。
独占禁止法だけじゃないんですか?
入札談合等関与行為防止法ですよね。官製談合に批判が集まったことを受けて、国や地方公共団体等の発注機関に対して組織的な対応を求めて官製談合の再発を防止するために、2002年に制定されたんですよね。
どんな内容なんですか?
発注する国や地方公共団体等の職員が入札談合に関与した場合、公正取引委員会が、発注機関の長に対して、関与行為の排除のために必要な改善措置を求めることができるの。
関与した職員は、どうなるんですか?
発注機関の長から、損害賠償請求と懲戒処分を受けることになるわ。
入札談合等関与行為防止法が2006年に改正されて、刑事罰も導入されたんですよね?
ええ。違反者に対する措置を厳しくするためよ。
事業者はどうなんですか?
公正取引委員会から、違反行為の排除措置命令が出され、課徴金の納付も命じられるわ。関与した担当者も、独占禁止法に基づいて、刑事罰を受ける可能性があるわね。
厳しく規制されているんですね。
入札談合への関与を防止するために、地方公共団体によっては、独自に条例やマニュアルを備えているところもあるのよ。企業も、経営トップが談合と決別するという強い意志を従業員や取引先に表明したり、発注担当者を定期的に配置転換させたり、従業員に対して教育を実施したり、様々な取組みをしているわ。
そうなんですね。僕もよくわかっていなかったし、ちゃんと勉強しないとな~。
いい心がけね! 私も説明したかいがあるわ。
えへっ、頑張ります!
【入札談合】
◆ 国や地方公共団体などが発注する公共工事などの入札の際、入札参加者間で受注する事業者や受注金額等を事前に決めてしまう行為のこと。独占禁止法で禁止されている
◆ 工事を発注する国や地方公共団体等については、職員が入札談合に関与することを防止するために、入札談合等関与行為防止法も制定されている
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