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2014/08/05号

~原材料価格の高騰、価格に転嫁できる?~の巻

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昼休み、ニュースサイトを見ていたたなやんが、筋野さんに声をかけました。

最近、原材料価格の高騰が続いているって、話題になっていますよね。

そうみたいだな。

この間の飲み会で、大手の下請けをしているメーカーに勤めている友人が、原材料価格の高騰が続くと、価格に転嫁せざるをえないって、ぼやいていました。

値上げは取引先に嫌がられるだろうけど、この場合は仕方ないよな。

それが、親事業者に価格の改定をお願いしても、なかなか認めてもらえないみたいなんです。「まずは説明資料を提出してください」って、社外秘にあたる内容の資料の提出を求められたり、手間と時間ばかりかかって、全然OKしてもらえないらしくって。

それはひどいな。

それ、「下請けいじめ」にあたるかもしれないわね。

あっ、えり先輩!

えり先輩! 友人が八方ふさがりみたいなんです。どうか良いお知恵を!

たなやんのお友達の場合は、下請法で禁止されている「買いたたき」にあたる可能性があるわね。

「買いたたき」ですか?

ええ。下請法で定める親事業者の禁止行為のひとつで、類似品等の価格・市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めることをいうのよ。

著しく低いかどうか、どうやって判断するんですか?

「対価が通常と比べて著しく低くないか」「下請代金の決定方法等が不当なものではないか」の2点を考慮して判断するのよ。

具体的には、どういう場合が該当するんですか?

たとえば、過去1年間に原油・原材料価格が数十パーセント上昇し、コストも上昇しているにもかかわらず、親事業者が単価の引上げに応じなかったり、単価を1年以上据え置いている場合は、対価が著しく低いと判断される可能性があるわ。

僕の友人のケースと似ていますね。

それから、下請事業者からの価格改定の申し出に対して、親事業者が一方的に価格を決めている場合は、不当に下請代金を定めていると判断される可能性があるわ。

実際に、親事業者が一方的に価格を決めているって、どうやって判断するんですか?

たとえば、下請代金の決定に当たって、親事業者が下請事業者と十分に協議をしたかどうかや、ほかの下請事業者と比べて差別的であるかどうかなどを総合的に判断するのよ。

友人をこのまま泣き寝入りさせたくないんですけど、どこかに相談できないんでしょうか?

各都道府県の中小企業支援センターに、下請取引の適正化の推進を目的に、「下請かけこみ寺」という相談窓口が設置されているわ。

おっ! かけこみ寺があるんですね!

相談員や弁護士が相談を受け付けてくれるのよ。相談を受けた上で、悪質な事例に関しては親事業者に是正勧告し、改善が認められない場合は公正取引委員会へ勧告して企業名を公表しているのよ。

さっそく友人に話してみます!

中小企業庁は、電気料金や原材料価格の上昇等に伴う負担の増加について、下請事業者に一方的にしわ寄せがいかないように、親事業者に対して、「電気料金の上昇及び原材料価格の上昇等に係る下請取引の適正化」も要請しているのよ。

下請事業者に一方的に負担を押しつけるのはNGっていうことですね。

そのとおりよ。適正な取引関係を心がけてね。


◆ 親事業者が、類似品等の価格・市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めることは、下請法が禁止する「買いたたき」にあたる
◆ 原油・原材料価格とコストが上がっているのに、親事業者が単価の引上げに応じなかったり、単価を1年以上据え置いている場合は、「買いたたき」にあたる可能性がある
◆ 下請事業者からの価格改定の申し出に対して、親事業者が一方的に価格を決めている場合も、「買いたたき」と判断される可能性がある

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