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2014/09/24号

~開店セールと不当廉売の関係は?~の巻

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開店したばかりのお店で、たなやんとランチをしてきた足尾さん。帰り道に話しているうちに、なにやら疑問がわいてきたようです。

ランチが半額なんて、ラッキーだったよね。

おいしかったし、本当にお得でしたよね。

ところで、半額ってすごい値引きだよね。法律上問題にならないのかな?

開店した時に、お客さんを呼び込むためにセールをしているお店、他でも見かける気がしますけど…。

でも、ランチが半額って、さすがに原価を下回ってるんじゃないかな。確か、原価を下回ると不当廉売になるって聞いた気がするんだけどな。

会社に帰ったら、えり先輩に聞いてみましょうか?

えり先輩。レストランで半額セールって、不当廉売になってしまいませんか?

あら、どうかしたの?

新しく開店したレストランに行ったら、開店セールでランチが半額だったんですけど、原価を下回って販売すると独占禁止法で禁止している不当廉売になるんじゃないかって、ちょっと気になって。

いい気づきね。せっかくだから、独占禁止法の目的から確認しておきましょうか。

はい! お願いします!

独占禁止法の目的は、公正で自由な競争を維持・促進することよ。公正で自由な競争とは、誰もが自由に参入できる市場で、事業者が自ら価格や生産量などを決め、消費者に選んでもらえるようにお互いに競い合う、っていうことよ。

切磋琢磨するっていうことですね。

そうね。独占禁止法では、こうした公正で自由な競争を促進するために、公正な競争を阻害するおそれのある行為を、「不公正な取引方法」として禁止しているの。

不公正な取引方法、ですか?

ええ。足尾さんが言っている不当廉売は、この不公正な取引方法にあたるのよ。

そうなんですね。

正当な理由がないのに、商品を不当に低い価格、例えば、総販売原価を大幅に下回るような価格で、継続して販売し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合、不当廉売にあたると判断されるのよ。

開店半額セールは3日間続けるって書いてあったし、やっぱり不当廉売になりそうだな。

そう決めつけないで。正当な理由があれば、コストを下回る価格で販売しても問題がないのよ。

正当な理由があるって、どういう場合ですか?

キズ物・季節商品の処分などは、安売りをする正当な理由があると考えられるわ。それから、短期間の閉店セールや新規開業時の一時的な安売りも、正当な理由があると判断される場合が多いんじゃないかしら。

そうなんですね。教えていただいて、ありがとうございます。そうだ! 明日のランチ、一緒にそのお店に行きませんか? 半額だし、お礼におごります!

ありがとう~。じゃあ、そのお礼に、不当廉売以外の不公正な取引方法についても、詳しく説明しなきゃね!

え…? 今回は、このぐらいでもう大丈夫です~。


◆独占禁止法の目的は、公正で自由な競争を維持・促進することである
◆独占禁止法は、公正な競争を阻害するおそれのある行為を「不公正な取引方法」として禁止している
◆不当廉売は、独占禁止法で不公正な取引方法の一つとして禁止されている
◆正当な理由がないのに、コストを下回る価格で、継続して販売するなどして、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合、不当廉売となる
◆不公正な取引方法のうち、「不当廉売」「差別対価」「共同の取引拒絶」「再販売価格の拘束」の4類型は、同一の違反行為を繰り返した場合、課徴金の対象となる

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