第一法規株式会社|教育研修一覧

2014/12/09号

~暴力や暴言だけではない、パワハラについて考える~の巻

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たなやんが、営業先から戻ってきました。

ただいま帰りました。

おかえりなさい。

……(返事をせず、行ってしまう)

(独り言)やっぱり、嫌われたかなあ。

どうかしたんですか?

実は、先週、筋野さんとちょっと意見が対立しちゃって、そのせいか、最近あいさつしても返事をしてくれないんです。

それは筋野さんと話し合ったほうがいいわね。「無視される」「会話をしてくれない」のは、パワハラにあたる可能性があるのよ。

あっ、えり先輩!!

無視するのは、パワハラの行為類型のうち、「人間関係からの切り離し」にあたるわ。

パワハラって、暴力や人前でのひどい暴言だけじゃないんですか?

殴る、蹴るなどの「身体的な攻撃」や、みんなの前で大声で叱責したり、人格を否定するような発言をするなどの「精神的な攻撃」は、パワハラ行為の一例に過ぎないのよ。

ほかにはどんな行為がパワハラになるんですか?

厚生労働省が発表したパワハラの行為類型によると、たとえば、終業間際に過大な仕事を押し付ける、一人では無理だとわかっている仕事を一人でやるように命じるなどの行為は、「過大な要求」としてパワハラにあたるのよ。

営業担当なのに買い物や掃除など、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事ばかりを命じるのも、「過小な要求」としてパワハラになるんですよね。

ええ。交際相手はいるのか、結婚はまだかなど、プライベートなことを過度に詮索することも、「個の侵害」としてパワハラになるわ。

部署の食事会に誘われないなどは、「人間関係からの切り離し」にあてはまりますよね。

一口に「パワハラ」といっても、いろいろなんですね。パワハラかどうかの判断がむずかしそうですね。

業務の適正な範囲を超えているかどうかが一つのキーワードなのよ。

暴力は犯罪だからわかりやすいですけど、個の侵害などは、そもそも問題として取り上げられないこともあるって聞きます。

確かに、業務の適正な範囲を超えるかは、業種や企業文化の影響も受けるし、業務との線引きがむずかしい場合もあるわね。職場の認識をそろえ、その範囲を明確にすることが望ましいわね。

とにかく無視は絶対「適正な範囲」じゃないと思いますし、すぐに筋野さんに話をしてみたほうがいいですよね。

そうですよね! (戻ってきた筋野さんに)どうして僕のこと無視するんですか?

へ??

最近、あいさつしても返事をしてくれないじゃないですか?

…。(メモを書く)“カラオケやり過ぎ 声、出ない(泣!) あれ? 怒ってる?”

ええ~! そういうことは早く言ってくださいよ~!!(ガクッ)

◆職場のパワハラの具体例(厚生労働省調査より)
①身体的な攻撃:足で蹴られる
②精神的な攻撃:同僚の前で無能扱いする発言をされる
③人間関係からの切り離し:他の人に「私の手伝いをするな」と言われる
④過大な要求:終業間際に過大な仕事を毎回押し付けられる
⑤過小な要求:従業員全員に聞こえるように程度の低い仕事を名指しで命じられる
⑥個の侵害:個人の宗教を、みんなの前で言われ、悪口を言われる

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