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2015/03/10号

~循環取引ってな~に?~の巻

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お昼休みにスマートフォンでニュースを見ていたよっしー。何か疑問があるようです。

みちさん、「循環取引」って、聞いたことあります?

いきなり、どうしたの?

最近、勉強のために経済ニュースを見るようにしているんですけど、「循環取引で○億円架空計上」などと書いてあっても、よくわからなくて…。

むずかしい質問ね~(汗)。ここは先輩に聞くしかないわね。えりさ~ん!

呼んだかしら?

「循環取引」について、解説をお願いします!!

確かに、2人はあまり接する機会がない話題よね。「循環取引」というのは、実際に商品を動かさずに伝票上で売買して、複数の企業間で転売していく架空取引の一種なの。

なんのためにそんなことするんですか?

上場を目指す企業が、売上高をかさ上げするために行ったり、特定の部門が売上成績をよく見せかけるために行うことがあるようね。

具体的には、どんな方法なんですか?

典型的なのは、「(1)A社がB社に、ある商品を300万円で売る。(2)C社がB社から、その商品を330万円で買う。(3)D社がC社から、その商品を360万円で買う。(4)再び、A社がD社から、その商品を別の商品であるかのように見せかけて380万円で買う」というような取引を繰り返す方法ね。

なんだか、商品がぐるぐる回っているような…。

それに、金額も少しずつ高くなっています!

そのとおりよ。実態としては、A社が、300万円で売った商品を380万円で買い戻していることになるから、赤字の取引になるわね。でも、当初売った商品とは別の商品であるかのように見せかけているから、赤字とは認識されないのよ。

確かに、一見、A社が300万円の売上を上げて、全く別の商品を380万円で買ったような印象ですね。

循環取引の場合、帳簿上だけの取引だから、伝票や契約書があるだけで、商品はまったく動いていないのに、架空の商品が資産として計上されてしまうことになるの。だから、それを隠すために、さらにその商品を別の商品として、またB社に400万円で売り…というように、流れを止めることができなくなるの。

いったん循環取引をはじめたら、やめられないってことですね。

それに、穴埋めに必要な金額がどんどん増えていくから、最終的には数億円の架空売上計上になってしまうこともあるのよ。

怖いですね。そういえば、上場する際に提出した有価証券届出書に記載された売上高が100億円以上だったのに、実際には数億円しかなくて、ほぼ架空売上高だったっていう話を聞いたことがあります!

上場のための名目上の売上だけが最優先になってしまったのね。

まさに、目先の数字しか見えていない、ですね。

不正会計の手段はたくさんあるけど、組織的な手法の一つが循環取引といえるわね。でも、これは必ず破たんする方法よ。実体の伴った取引で利益を上げるのが、ビジネスの基本よ。2人とも、覚えておいてね。

はいっ!!

はいっ!!

【循環取引のポイント】
◆循環取引とは、実際に商品を動かさずに伝票上で売買し、複数の企業間で転売する架空取引の一種である
◆循環取引は、必ず破たんする方法であり、ビジネスとして成り立たない

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