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2015/03/24号

~偽ブランドが侵害する知的財産~の巻

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足尾さんがスマホのニュースを見て、みんなに話しかけました。

知的財産を侵害しているとして、輸入を差止められた物品の件数が過去最多になったみたいですよ。

偽ブランド品などですよね。中国からのものが、9割以上みたいですね。

私もそのニュース見ました。従来どおり、商標権の侵害が最多だけど、不正競争防止法違反での輸入差止め件数が、大幅に増加したんですよね。

そうそう。商標権の侵害ならわかるけど、偽ブランド品で不正競争防止法違反ってよくわからなくて…。

不正競争防止法は、他人の商品の形態、つまりデザインを模倣した商品を制作して販売・展示・輸出入したりする行為を「商品形態模倣行為」として禁止しているの。偽ブランド品などは、商品のデザインを模倣しているから、不正競争防止法に違反するのよ。

先行開発者が時間や費用、労力を投じて開発したデザインを、他人が模倣することを許してしまうと、市場の公正な競争が阻害されてしまうから禁止されているんですよね。

そのとおりよ。ただし、先行開発者が商品の販売を開始してから3年間に限られるの。

どうして、期間が限られているんですか?

先行開発者の利益を過度に保護すると、競争や創作行為を阻害しかねないから、比較的短い期間に限定されているのよ。

もしも、その3年間が経つ前にデザインを模倣された場合は、どうなるんですか?

「商品形態模倣行為」によって営業上の利益を侵害されたり、そのおそれがある場合は、侵害者等に対して、侵害行為の差止めや損害賠償を請求できるわ。

さっきのニュースによると、意匠権を侵害する物品も大幅に増加しているんですよね。

意匠って、美術工芸品・工業製品などの形・色・模様などの外観をさまざまに工夫して、視覚を通じて美感を起こさせるもののデザインのことですよね。

じゃあ、この前僕が作ったオリジナルフィギュアにも意匠権があるのかな?

意匠権は、特許庁に出願して、設定登録を受けないと取得できないの。意匠権を取得するためには、新規性や容易には行えない創作であるなどの要件を満たす必要があるのよ。

む~。そうなのか~。

それから、不正競争防止法の「商品形態模倣行為」が禁止されるのは、販売開始から3年間だけど、意匠権の保護期間は登録日から20年間なのよ。

もしも、知らずに偽ブランド品を買って、それを使っていて事故が起きた場合、どうなるんでしょう?

一般的にいえば、商品の購入者は、製造物責任法や民法による損害賠償を請求できると考えられるわ。

なるほど。

偽ブランド品は、知的財産を侵害するものだし、品質の悪さから事故が起きる可能性もあるわ。安いからといって変なものに飛びつかないで、正規の代理店やルートを通じて正規品を購入するようにしてね。

はい! 買うときにしっかり見極めます!

◆他人の商品のデザインを模倣した商品を制作して販売・展示・輸出入したりする行為は、「商品形態模倣行為」として、不正競争防止法で禁止されている
◆意匠権も知的財産として保護されるが、そのためには、特許庁に出願して、設定登録を受ける必要がある

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