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2015/09/29号

~海外で営業秘密を漏えい?!~の巻

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海外出張の準備をしている筋野さん。かなり張り切っている様子です。

出張、来週ですよね? 準備はどうですか?

今、資料を作っている最中だよ。ひさびさの海外出張だから楽しみだな~。

何か手伝いましょうか?

助かるよ。例の開発中の新製品の設計図を持って行きたいんだけど、どこにあるかわかるか?

この前、開発部と打ち合わせをした新製品ですよね?

そうそう。出張先で会うD社の人が興味を持ちそうな製品だから、資料を見せたら喜んでもらえるかと思ってさ。

でも、勝手に持ち出したらまずいんじゃないですか?

チラッと見せるだけなら大丈夫だろう。しかも、海外でだし。

筋野さんっ!!

うわっ、えり先輩っ!

そんなことしちゃだめよ! 営業秘密として管理されている情報を、他社の人に見せるために無断でコピーしたり、社外へ持ち出すと、不正競争防止法違反になるわよ。

海外の出張先で、チラッと見せるだけでもダメなんですか?

もちろんよ。日本国内で管理されている営業秘密を海外で不正に使用・開示した場合も、国内で行った場合と同様に処罰されるのよ。

知らなかった…。気をつけます!

最近は、営業秘密が海外へ流出する事件が頻発して、問題になっているのよ。

そうなんですね。

こうした状況を受けて、不正競争防止法が改正※されて、営業秘密の漏えいに対する罰金額が引き上げられたのよ。不正に取得した営業秘密を海外へ漏えいした場合は、さらに罰金が重課されることになったわ。
※平成27年7月10日公布。一部の規定を除き、公布から6カ月を超えない範囲で施行予定。

海外で漏えいした場合は、さらに厳しく罰せられるってことですね。

それから、営業秘密の漏えいによって得た利益も没収されることになるわ。違反行為に対する処罰を厳罰化することによって、営業秘密の漏えいを防ごうとしているのよ。

営業秘密はそれだけ大切なものなんですね。

営業秘密の侵害は、在職している従業員だけでなく、退職者や取引先の従業員などが行ったとしても、処罰の対象になるから気をつけてね。

退職した後なら許されると思ったら、抜け道はないんですね。

これからは、「海外だから」「チラッと見せるだけだから」、なんていう甘~い認識で、大切な営業秘密を漏らしてしまわないように気を付けてね。

はい!

わかりました!!


◆営業秘密の侵害に対する刑事罰は、日本国内で管理されている営業秘密を海外で不正に使用・開示した場合にも適用される
◆営業秘密の侵害は、退職者、取引先の従業員など立場にかかわらず、処罰の対象になる
◆改正不正競争防止法※は、営業秘密の侵害に対して、罰金額を引き上げるなど、厳罰化されている
※平成27年7月10日公布。一部の規定を除き、公布から6カ月を超えない範囲で施行予定

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