昼休み、足尾さんとみちが、何やら話しています。
人事部の同期が、「改正労働者派遣法の勉強で忙しい」って言ってたんですけど…。
きちんと理解して準備しなければならないですからね。
でも、うちの会社には関係ないですよね?
あら、うちの会社も関係あるわよ。
あっ、えりさん!
足尾さん、「派遣」という雇用形態は知っているわよね?
はい。派遣会社(派遣元)と労働契約を結んだ派遣労働者が、派遣先の会社で働く雇用形態のことですよね?
そのとおりよ。
うちの会社は派遣先で、派遣労働者と派遣先は、直接の雇用関係はないですよね。だから、関係ないと思っていたんですけど…。
確かに、派遣労働者とうちの会社は、直接の雇用関係はないけど、労働者派遣法は派遣元と派遣先が守るべきルールを定めた法律よ。だから、派遣先も関係があるのよ。
そうなんですね。今回の改正は、具体的には、どんな内容なんですか?
主な内容は、「派遣事業の健全化」「派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ」「労働者派遣の位置付けの明確化」「派遣期間制限の見直し」「派遣労働者の均衡待遇の強化」よ。
うちの会社には、どんなふうに関係してくるんですか?
うちの会社のような派遣先は、まず、「派遣期間制限の見直し」に対応する必要があるわね。いままでは、秘書などの専門26業務には派遣期間の制限がなく、その他の業務には最長3年という期間制限があったけど、今回の改正で、その区別がなくなったのよ。
じゃあ、どんな業務でも派遣期間は3年が上限ということですか?
そうね。具体的には、「派遣先の事業所単位の期間制限」が新たに設けられて、業務に関係なく、派遣先において、同一事業所での派遣労働者の受け入れ期間が原則3年までになったのよ。
3年を超えたら、受け入れができないっていうことですか?
原則そうなるわね。3年を超えて受け入れるためには、派遣先は、自社の労働者の過半数で組織する労働組合等からの意見を聴取する必要があるのよ。それから、「派遣労働者個人単位の期間制限」も設けられたの。同一の派遣労働者を、派遣先の事業所の同一の組織単位(課など)で受け入れができる期間も3年までになったのよ。
つまり、「一人の派遣労働者が、同じ部署で働くことができる期間は3年まで」ということですね。
そういうことになるわね。それから、今回の改正では、派遣元に対して、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップのための措置や、派遣労働者の雇用安定措置(派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用等)を義務付けているの。
派遣先の会社でも、これらについてすべきことはあるんですか?
ええ。派遣元の要請があった場合の派遣労働者のキャリアアップ支援に必要な情報の提供や雇入れの努力義務、労働者(正社員含む)の募集情報の提供義務などがあるわ。
いろいろやるべきことがあるんですね。
【労働者派遣法の主なポイント】
1.派遣事業の健全化(全ての労働者派遣事業を許可制とする)
2.派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ(派遣労働者のキャリアアップ、雇用継続を推進するための措置を派遣元に義務付ける)
3.労働者派遣の位置付けの明確化
4.派遣期間制限の見直し(専門26業務と区別する派遣期間制限の廃止、事業所単位・個人単位の期間制限の新設)
5.派遣労働者の均衡待遇の強化
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