第一法規株式会社|教育研修一覧

2015/10/27号

~商標を守る権利~の巻

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筋野さんとたなやんが、新商品のチラシを検討しているようです。

ここの色を変えてみたらどうかな?

確かにそのほうが目立ちますね。

それから、このD社の使っているロゴを真似して入れたら格好いいと思うんだよね!

真似するのはまずいんじゃないですか? D社が商標登録しているはずですよ。

そうなの? じゃあ、ちょっとアレンジして…。

ちょっと待ったー!!

あっ、えり先輩!

筋野さん、商標登録ってどういうことか、わかってる?

うっ、え~っと…。

商標って、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマークのことですよね?

そうよ。その商標を財産として守る権利が「商標権」なの。商標権を取得するためには、特許庁へ出願して、商標登録を受ける必要があるの。商標権は、その商標を独占的に使用できる権利だから、他社が商標登録しているものを、勝手に使ったり、真似したりしてはいけないのよ。

す、すみません…。

商標権は、商標と、それを使用する商品・サービスの組合せで一つの権利になっているの。だから、出願する際には、その商標を使用する「商品」または「サービス」と、一定の基準でカテゴリー分けされた「区分」を指定する必要があるわ。商標権は、その指定した区分と商品やサービスの範囲でのみ有効なのよ。

出願は早い者勝ちって聞いたことがあるんですけど。

そのとおりよ。商標登録をしないで使用していたマークを、他社が先に商標登録した場合、そのまま使用し続けると商標権の侵害にあたる可能性があるから注意が必要よ。

うわっ! そうなんですね。

商標登録されていることを知らなくてもですか?

たまたま似ていた場合でも、類似していると認められると、商標権の侵害として、権利者から使用の差し止めや損害賠償を請求されたり、刑事罰を科される可能性があるわ。

きちんと確認しなかった方が悪いってことですね。

著作権の場合はどうなんですか?

著作権の場合は、たまたま似てしまった場合は侵害にはならないわ。それから、著作権は、著作者の死後50年までしか認められないけど、商標権は、繰り返し更新すれば、ずっと権利を持ち続けることができるのよ。

商標権を侵害しないように注意しなければいけないですね。

チラシには別の案を考えないといけないな~。「筋野もおすすめ!」って、俺の写真付きで載せるのはどうかな?

…。 改めて別の案を考えましょう!


◆商標とは、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマークのことであり、それを財産として守る権利が、「商標権」である
◆「商標権」を取得するためには、特許庁へ出願して、商標登録を受ける必要がある
◆商標は、たまたま似ていた場合でも、既に商標登録されている商標と類似していると認められると、商標権の侵害にあたる可能性がある


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