足尾さんと大麦さん、よっしーが、お昼休みに何やら話しています。
障害者差別解消法が、今年の4月から施行されますね。
最近、よく新聞でも取り上げられていますよね。行政機関や事業者に対して、障害がある人への「不当な差別的取扱い」が禁止されるようになるんですよね。
「不当な差別的取扱い」…? 僕、よくわかっていないかも。
あら。休み時間に真面目な話をしているなんて、感心ね。
えり先輩、ちょうどよかった! 障害者差別解消法について、教えてもらえませんか?
もちろん大歓迎よ。まず、基本的なところから確認していきましょう。障害者差別解消法の目的はなんだと思う?
法律名のとおり、「障害がある人への差別をなくす」ってことですよね。
そうね。この法律は、すべての人が障害のあるなしによって分け隔てられることなく、お互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会を作ることを目指しているの。
そのために、行政機関や民間事業者などに対して、障害のある人へ「不当な差別的取扱い」をすることを禁止しているんですよね。
「不当な差別的取扱い」って、具体的にはどういう行為なんですか?
たとえば、車いすだからといってお店に入ることを拒否したり、障害があるからといって部屋を貸さなかったりするなど、障害を理由に、サービス等の提供を拒否・制限したり、条件を付けたりするような行為のことよ。
正当な理由もなく、障害のない人と違う扱いをしてはいけませんよね。
そのとおりよね。ただ、客観的に見て、それが正当な目的で行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ない場合は、障害を理由としてサービスの提供を拒否しても、「不当な差別的取扱い」にはあたらないとされているわ。その場合は、障害のある人にその理由をきちんと説明して、理解を得るように努めることが望ましいわね。
そうなんですね。
障害者差別解消法では、障害のある人に「合理的配慮」をすることも求めているんですよね。
「合理的配慮」って、どういうことですか?
障害のある人やサポートする家族などから、必要な配慮を求める意思の表明があった場合に、負担になり過ぎない範囲で、日常生活や社会生活を送るうえでの障壁を取り除くために必要で合理的な配慮をすることよ。
たとえば、「聴覚に障害がある人に筆談で内容を説明する」「視覚に障害がある人に内容を読み上げて伝える」などが合理的配慮にあたるんですよね。
なるほど。
「不当な差別的取扱い」は、民間事業者、行政機関等ともに禁止されているわ。一方、「合理的な配慮」は、行政機関等は必ず対応しなければならないけど、民間事業者は努力義務となっているわ。
たしかに、行政サービスには必要な配慮ですよね。民間事業者も、これらの取り組みをするとなると、人手や費用が必要となりますね。
そうね。負担が大きくなりすぎないように、やり方を工夫する必要があるでしょうね。それから、具体的場面や状況に応じて、事業への影響や負担の程度、財務状況など、総合的・客観的に検討した結果、過重な負担であると判断して合理的な配慮を行えない場合は、その理由を説明して、理解を得るように努めることが望ましいわね。
個別に対応を考えていく必要があるってことですね。
【障害者差別解消法】
◆障害のある人への差別をなくすことで障害の有無にかかわらず互いに尊重し合い、共に生きる社会を作ることを目指す法律である
◆障害のある人への「不当な差別的取扱い」「合理的な配慮をしないこと」を禁止している
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