朝から、元気のないたなやん。通りがかった足尾さんが、声をかけました。
どうしたの? 悩みごとがあるなら、相談にのるよ。
実は、さっき、お客さまに誤った金額の見積書を出しちゃったことに気づいたんです。でも、もう、その金額で受注してしまったんですよね…。
えぇっ!? 部長には、もう報告したの?
まだです。「取引を断られたら…」と思ったら、怖くて言えなくて…。
確かに、怒られるのはイヤだよね。何かうまい方法はないかな…。
ダメよ、二人とも。すぐに報告してきて!
あっ、えりさん!!
(数時間後)
部長と一緒に先方に謝ってきました。一部、仕様の変更にはなったんですけど、取引は継続してくれました。えりさんが背中を押してくれたおかげです。ありがとうございます!!
よかったね。やっぱり「報告・連絡・相談」って大事だね!
そうよ。報告をためらって、「うまい方法がないか…」なんて考えちゃだめよ。
すみませんでした!
「報連相」を忘れているわけではないんですけど、「いざミスを報告する」となると、ついためらってしまって…。
怒られることや責任を取ることが怖くて、逃げたくなる気持ちはわかるわ。でも、「報連相」の意味を、もう一度思い出してみて。
1.上司に指示された業務の経過と結果を上司に「報告」すること、2.業務に関する事実を関係者に「連絡」すること、3.迷った時は、上司や先輩に「相談」すること、ですよね?
その通りよ。なかでも、特に、「報告」は習慣にする必要があるわ。上司への報告は、上司とのコミュニケーションにもなるのよ。毎日、報告をしていれば、信頼関係を築くことができるし、言いにくいことも少なくなるはずよ。
何でも言える関係であれば、「連絡」「相談」も自然にできますね!
でも、いくら関係が良くても、言いにくい時もありますよね。
そういうときは、最悪の結果を想像してみて。今回は、迅速に報告したことで、仕様変更で済んだけれど、もし報告が遅れて生産が始まっていたら、どんな結果になっていたと思う?
(ぞぞっ!)契約違反として、お客さまに支払いを拒否されたかもしれません。
それに、うちの会社の信頼も失ってしまいますよね。
そうよ。自分の評価を守るためにミスを隠したことで、損害や被害が拡大してしまったら、自分の評価どころか、会社の評判も地に落ちてしまうわ。結果的に自分の責任を重くしてしまうことになるのよ。
悪い情報ほど「早く」報告して、損害を最小限に食い止めるってことですね!
よしっ! えりさん、たなやん、僕も思い切って報告します!! 店の予約を忘れていて、今日の新人歓迎会が延期になります。ごめんなさい!!
え~っ! まったく、足尾さんたら…。
足尾さん、それはないですよ~。
やっぱり怒られた~。トホホ(泣)。
「報連相」の効果
◆上司と部下、同僚間の意思疎通ができ、仕事の効率が高まる
◆積極的なコミュニケーションによって、よい職場環境が生まれる
◆上下・横の議論が活性化され、よいアイディアが生まれる
◆ミスやトラブルを減らし、被害・損害を最小限に食い止めることができる
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