在職中に知った企業秘密や顧客情報、退職することになったら、それらに対してどのような義務を負うのでしょうか…?
友達が、近いうちに退職するんですけど、勤務先から誓約書にサインをするように言われたみたいで、「サインしなきゃいけないのかな~」って、相談されたんです。
誓約書? なんか怖いね~。サインしたくない気持ち、わかるな~。
でも、誓約書の提出は義務だって言われたみたいで…。
もしかして、誓約書って、「秘密保持誓約書」のことかしら?
なんですか? 秘密保持誓約書って?
会社が、企業秘密の漏えいを防ぐために、退職後も含めて、在職中に知った営業秘密などを漏えいしない義務を負うことを、会社に対して誓約してもらうものよ。
それって、守らなければならない義務なんですか?
そうね。労働契約によって、従業員は会社に対して、企業秘密を漏えいしない義務を負っていて、退職後も、一定の要件の下で秘密保持義務を負うとされているのよ。
そうなんですね。
それから、たとえ、秘密保持誓約書を結んでいなくても、営業秘密を漏えいしたら、不正競争防止法違反に問われることになるわ。
どんなことをしたらアウトなんですか?
例えば、在籍中に取得した営業秘密を不正に持ち出して、退職後に、それを使用・開示するなどね。不正に持ち出した営業秘密をライバル会社に売ったりした場合は、損害賠償の支払いや、不正使用の差し止めなどを求められる可能性があるわね。
じゃあ、営業秘密を漏えいしなければ、大丈夫ってことですか?
そうね。秘密保持以外にも、労働契約上の信義則から、著しい背信行為と思われることも、してはいけないわ。
例えばどんな行為ですか?
同僚や顧客を転職先に根こそぎ引き抜くような行為は、望ましくないわね。
もちろん、そんなことしません!!
足尾さん、もしかして退職とか考えていませんよね?
まさか! 僕の友人が転職を考えているので、いろいろ教えてあげようと思っただけです。
それならよかったわ。
えりさん、なんだかんだ言って、僕に辞めてほしくないってことですね。うれしいな。この先もずっとえりさんについて行きます!
それは、勘弁して~。
◆ 従業員は会社に対して、企業秘密を漏えいしない義務を負っており、退職後も、一定の要件の下で秘密保持義務を負う
◆ 在職中に知った営業秘密を、退職後にライバル会社に売った場合、不正競争防止法違反となる
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