会社で、契約をしたり、物を購入するときに必要な「稟議書」。会社員には欠かせないものですが、なんのためのものか、きちんと理解していますか?
ねぇ、よっしー。この間、うちの部署の新人に、「稟議書って、なんのためにあるんですか?」って聞かれたんだけど、わかる?
えっ、いきなりどうしたんですか?
僕も会社員人生長いけど、「そういえば、なんであるんだろ?」って、一緒に考え込んじゃって。
あらあら、頼りない先輩ね。
あっ、えりさん!! 僕に、稟議書について、あらためて教えてください!!
いいわよ。ではまず基本から。「稟議書」は、まさに「稟議」するための文書なの。会社でさまざまな物事を決めるときに、毎回会議を開くのは時間の無駄でしょう? だから、担当者が案を作成して、関係者に回覧し、同意・承認(決裁)を求める「稟議」を行うの。案は、指定のフォーマットに則って作成されることが多いわね。
なるほど。それで、稟議ってどういう場合に必要なんですか?
そうね。承認(決裁)を求める内容としては、「契約(○○と契約を結びたい)」「購買(△△を買いたい)」などが多いわね。
じゃあ、稟議書で申請すれば、なんでもOKなんですか?
いいえ。なぜ、稟議書を関係者に回覧するのか、わかる? その理由は、関係者が、その申請に妥当性があるかどうか、各部署の視点から「審議」するためなのよ。「どんな目的で契約するのか」「内容は妥当か」「会社の方針に合致しているか」「会社に利益をもたらすか」「この商品の価格は妥当か」「購入の理由は正当なものか」「会社の事業に必要なものか」など、さまざまな視点で審議が行われるわ。
そういえば、私も、戻ってきた稟議書に、他部署の部長からコメントが付いていて、契約の内容を説明したことがあります。
その部署から見て、疑問点があったのね。だから、審議する人がムダなく、余裕を持って審議・承認できるように、「事前に」「所定の書式に沿って」「ポイントを絞り、簡潔に」稟議書を作成することが大切なのよ。そうすれば、決裁者にもその申請の必要性をわかりやすく伝えることができるし、審議も早くなるわ。担当者の労力も削減できるはずよ。
そっか、僕はいつも大麦さんの最終チェックを受けてるから、そんな厳しい審査が行われていたなんて、知らなかったな~。
(あきれて)大麦さんに頼ってばかりじゃだめよ。それから、一番大切なのは、「事前に」稟議を申請すること! つい最近も、『事後で申し訳ないんですけど…』って、稟議書を片手に、担当者が事情を説明に来たことがあったわよね?
あ、いろんな部署で怒られてましたね…。
そんなことにならないように、余裕を持って、仕事を進めましょうね。
僕は、大麦さんがいるかぎり大丈夫です!
足尾さんは、そろそろ大麦さん離れをしなくちゃですね…。
【稟議書作成のポイント】
◆「稟議書」は、会社でさまざまな物事を決めるときに、担当者が案を作成して、関係者に回覧し、同意・承認を求める「稟議」を行うための書類である
◆稟議書は、「事前に」「所定の書式に沿って」「ポイントを絞り、簡潔に」作成することが大切である
◆稟議書が必要な内容や案件の規模等については、社内規定を確認することが大切である
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