第一法規株式会社|教育研修一覧

2017/06/13号

~軽い気持ちでも、着服はNG!~の巻

line

業務上横領。自分の職場には関係ないと思っていませんか? 職場全体で、不正を防止しましょう。

(暗い顔で)なぁ、たなやん。おれ、見ちゃったんだよ…。

ど、どうしたんですか? いきなり。

実は、B先輩が、コンビニで、このあいだの新商品キャンペーンで作ったプリペイドカードで買い物をしてたんだよ…。

えっ! B先輩がですか!?

その話、聞き捨てならないわね…。

あっ! えりさん!!

もし、その話が本当なら、Bさんのしていたことは、立派な「業務上横領」よ。 このままにはしておけないわ!

ど、どうしたらいいんでしょうか?

そうね。Bさんは、その新商品キャンペーンの担当者なのかしら?

はい、一人で担当されてました。キャンペーンはもう終了したんで、使わなかったカードは回収したはずです。でも、B先輩が…? 信じられないです。

まずは、本人に事情を聞かないとね。 ただ、一般論として、客観的に見て、やろうと思えば不正行為ができてしまうような職場環境はよくないわ。 これを不正行為の『機会』というの。Bさんのように、ひとりの人に業務の権限が集中しているような状況ね。

そういえば、先輩、最近、子どもが生まれて、「小遣いが少なくてやりくりが大変だ」って愚痴を言ってました。

憶測で決めつけてはいけないわ。ただ、「お金に困っている」というのは、不正行為を実行したいと思う、主観的な事情として、『動機』にあたるわね。 加えて、不正が起こる際によくあるのは、「自分は不正行為をしてもいいのだ」と思う主観的な事情、つまり『正当化』があるの。 「どうせ余ったカードなんだから、自分が使ってもいいだろう」と自分に言い訳する、などがこれに当てはまるわ。

でも、B先輩は真面目な人ですし、勘違いだと思うんですけど…。

そうね。今、説明したのは、「不正のトライアングル」という、『機会』 『動機』 『正当化』という3要素がそろうと、不正のリスクが高まるという理論なの。米国の犯罪学者、D.R.クレッシーが、犯罪者を調査して導き出した理論よ。まずは、Bさんに事情を確認することが大切ね。

あれ? そういえば、B先輩、この間、「 X社の懸賞でプリペイドカードが当たった! 」とか言ってたような…。

(あきれた顔で)…筋野さん?

す、すいません…! まずはB先輩に、事情を確認してみます!(と、走り去る)

(苦笑いで)でも、勘違いなら、それが一番ですよね。


【不正のトライアングル】
◆(1)機会、(2)動機、(3)正当化 の3要素がそろうと、不正のリスクが高まる

<< 一覧へ戻る

line