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2017/09/12号

~販売価格を一斉に値上げ!?~の巻

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ある日の午後、深刻そうな顔をしたよっしーを見かけたみちが、声をかけました。

どうしたの? 深刻そうな顔して。

実は、友達の会社の話なんですけど、上司と業界団体の勉強会に行ったら、会が終わった後に、競合他社の担当者数人から「ちょっと話がある」って声をかけられて、上司だけ残ったんですって。それで、翌日その上司から、「来年から商品の販売価格を値上げすることに決まった」って話があったそうなんです。

その話、なんだかキナ臭いわね…。

あっ! えりさん!!

えりさん、やっぱりちょっとおかしな話ですよね。

そうね。詳しいことは、そのお友達に聞かなきゃいけないけど、「競合他社の担当者同士で話し合った結果、各社が一斉に商品の価格を値上げすることにした」という話なら、「カルテル」にあたる可能性があるわ。

カルテルって、独占禁止法で禁止されている行為ですよね?

そうよ。「不当な取引制限」の一種で、「事業者または業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを、共同で取り決める行為」のことをいうのよ。

業界団体の話し合いで商品の価格が決められたら、高い価格で商品を買わなきゃいけなくなって、消費者は困ってしまいますね。

その通り。カルテルは、各社が競争し合って商品やサービスの価格や生産量を決めるという資本主義の原則を曲げる行為だから、独占禁止法で禁止されているの。

カルテルを行った場合、罰則はあるんですか?

ええ。カルテルを行った事業者には、課徴金納付命令や排除措置命令が課されるわ。なんと、1社で約131億円の課徴金を課されたケースもあるのよ。カルテルを主導した事業者には、課徴金が上乗せされる場合もあるわ。それに、カルテルを行った事業者と、それに関与した事業者の役員や社員等の個人に、刑事罰が科される可能性もあるのよ。

131億!! 大変なことになるんですね。

ええ。ただ、カルテルに関わった事業者が違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免されるという制度(課徴金減免制度)もあるのよ。

わかりました。友達にすぐに伝えなきゃ…!

まずは、お友達の話が本当にカルテルに当たるのか確認した方がいいわね。私でよければ、アドバイスをするから、詳しい話を聞いてみてね。

はい! ありがとうございます。


【カルテルとは】
◆「不当な取引制限」の一種で、事業者または業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為
◆課徴金納付命令、排除措置命令、刑事罰が課されることがある

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