忘年会の季節。いろいろとお付き合いも多くなりますよね。安易に誘ってはいけない相手がいること、知っていますか?
昨日、友達と飲んだんだけど、官公庁と共同のプロジェクトの責任者になって、かなり忙しいみたいなんだよ。
大変そうですね。
契約とかで、官公庁とのやりとりも多いっていうから、「先方の担当者にお歳暮を贈って、融通をきかせてもらえば」ってアドバイスしといたよ。
それは、聞き捨てならないわね。
あっ! えりさん!!
筋野さん、「国家公務員倫理法」って知ってる?
コッカコウムインリンリホウ…? なんですか、それ。
説明するわね。国家公務員倫理法は、国家公務員を対象にした法律なのよ。省庁の幹部職員を中心に、不祥事が続発したことをきっかけに、2000年に国家公務員倫理法と国家公務員倫理規程が施行されたの。「国家公務員の職務の執行の公平さに対する国民の疑惑や不信を招く行為を防止することにより、公務に対する国民の信頼を確保すること」を目的としているのよ。
つまり、国民の疑惑や不信を招く行為をしちゃダメ、ってことですか?
ええ。国家公務員倫理規程では、国家公務員に対して、「利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与を受けること」や「利害関係者から供応接待を受けること」が禁止されているわ。
えっ…、物品の贈与はダメなんですか?
例えば、その国家公務員が契約に関する事務を職務としている場合、「契約を締結している者やこれから締結しようとする者」が「利害関係者」にあたることになるのよ。
ってことは、俺の友達も「利害関係者」ってことですか…!?
そうなるわね。他にも、利害関係者としては、許認可等を受けて事業を行っている者や補助金の交付を受けて事業を行っている者、立入検査等を受ける者などが該当するわね。
禁止されていることって、他にもあるんですか?
ええ。「利害関係者から未公開株式を譲り受けること」「利害関係者から供応接待を受けること」「利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること」「利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること」など、いろいろあるのよ。それから、国家公務員以外の地方公務員などであっても、国家公務員倫理規程と同様の条例が定められていることが多いから、注意してね。
あれ? じゃあ、公務員の友達と、一緒に飲んだりするのはいいんですか?
きっちり割り勘にするのであれば、その友達が「供応接待を受け」ていることにはならないから大丈夫よ。それに、もし、その友達が利害関係者であったとしても、2人の友人関係が公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないような関係であれば、食事をおごったりしても直ちに違反になるわけではないとされているわ。
(となりを見て)あれ? 筋野さん、顔色が悪いですけど、大丈夫ですか?
(おそるおそる)あの~、えりさん。じゃあ、俺のアドバイスは…?
ちょっと問題があるわね。 お友達に連絡して、はやく取り消してね。
はいっ!!
【国家公務員倫理法】
◆国家公務員の職務の執行の公平さに対する国民の疑惑や不信を招く行為を防止することにより、公務に対する国民の信頼を確保することを目的としている
【国家公務員倫理規程】
◆国家公務員に対して、利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与を受けることや
利害関係者から供応接待を受けることを禁止している
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