電話を切ったよっしーが、ため息をついています。
どうして私に聞いてくるのかな~。
どうかしたの?
足尾さんが、「ESG投資」について教えてって言うんです。でも、投資のことをコンプライアンス推進室に聞かれても…。
あら、今回は、めずらしく、足尾さんの直感が正しいわよ。
あ、えりさん!
「ESG投資」は、コンプライアンス推進室が知っておくことだと思うわ。
そうなんですか?でも、そもそも「ESG」って何のことですか。
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス:企業統治)の頭文字でESGよ。それぞれの要素として、例えば、Eは「環境汚染」「気候変動対応」、Sは「従業員の健康と安全」「人権への取り組み」、Gは「企業倫理」「腐敗防止策」などがあるわ。
えっ! コンプライアンス推進室の取り組みと、一致しているんですね。
ということは、企業の環境・社会・ガバナンスに関する情報を考慮した投資のことを「ESG投資」というんですか?
そのとおりよ。近年、投資家は企業の持続的な成長力を評価するにあたって、貸借対照表や損益計算書に基づく「財務情報」だけでなく、ESGのような「非財務情報」に対する感度を高めつつあるわ。ESGを重視することが、結局は企業の持続的な成長につながって、財務情報などからは読み取ることのできないリスクを排除できるという発想ね。
すばらしいですね。ただ、ESGに関する情報は、財務情報から読み取ることはできませんけど…。
そうした情報は、環境報告書、CSR報告書、サステナビリティ報告書などで開示されているのよ。
企業は自社の成長力を投資家にアピールするためにも、ESGの観点から、企業価値を高めていくことが必要なんですね。
そうね。だから、ESGへの取り組みの状況によっては、企業としての評価が下がって、逆に投資資金を引きあげられてしまうこともあり得るわ。実際に、環境対策や人権問題などの改善を求めても十分な対策が行われなかった場合、資金を引きあげると明言している大手資産運用会社もあるのよ。
すごい…。私たちのESGへの取り組みに、投資家は目を光らせている、ということですね。
ええ。私たちコンプライアンス推進室の役割は、企業価値を高めるための、縁の下の力持ちってところかしら。
確かに、私たちがきちんと説明できないといけない話でしたね。足尾さんにも教えてあげようと思います!
でも、何で足尾さんがESG投資に興味を持ったのかな…?
足尾さんのことだから、また怪しげな儲け話でも持ちかけられたのかもしれないわね(笑)。
【ESG投資のポイント】
◆ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス:企業統治)に関する情報を考慮した投資を指す
◆投資家は、企業の持続的な成長力を判断するにあたって、財務情報のみならず、ESGをはじめとする非財務情報の観点を重要視している
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