なかなかなくならない談合事件。どうして、談合をしてはいけないのか、基本をおさらいしましょう。
(スマホでニュースを見ながら)また談合のニュースだ。最近、多いような気がするね~。
そうですね。なかなかなくならないですね。
どうして禁止されているのか、説明できる?
あっ! えりさん!
じゃあ、みち! そもそも「談合」って、何だと思う?
うっ…! えーっと、えーっと…(口ごもる)。
うふふ。じゃあ、説明するわね。談合とは、カルテルとともに、独占禁止法で「不当な取引制限」として禁止されている行為にあたるの。正式には「入札談合」というわ。「入札談合」は、国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札の際に、事前に、受注事業者や受注金額などを決める行為を指すの。
カルテルは、入札制度のある公共工事等ではなくて、主に民間の事業で行われる行為ですよね?
ええ。「カルテル」は、事業者や業界団体に加入している事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを、共同で取り決める行為を指すのよ。これも、「不当な取引制限」として独占禁止法で禁止されているわ。民間企業同士の取引で行われることが多いけれど、国や地方公共団体との取引でも入札制度が用いられない取引はあるから、その場合はカルテルという形で不当な取引制限が行われることになるわね。
どちらも、事業者間で話し合いをして、本来、公正に取り決められるべき受注金額や商品の価格・生産数量などを決めてしまう行為なんですね。
そうよ。入札談合やカルテルがどうしてダメなのか、わかってきたわね。もしも、公共工事の入札の際、参加する数社が事前に相談して、そのうちの1社が受注することを決めてしまうと、参加企業は価格競争をしなくなってしまって、結果として、工事が実際に競争して決める価格より高い価格で落札されることになってしまうわよね。
えっ…! そうしたら、税金が余計に使われることになってしまいます!
そうね。もしも、入札談合が行われなければ、公共工事をより安い価格で発注できた可能性もあるわよね。だから、入札談合は、法律で禁止されているのよ。
民間取引におけるカルテルの場合は、数社の話し合いによって、商品の価格や販売・生産数量が決められてしまうから、私たち消費者に不利益が及ぶんですね。
つまり、消費者は、本来は、商品をもっと安く買えたはずなのに、高い価格で買わなければならなくなってしまうってことですね。
だから、独占禁止法で厳しく規制されているし、もし、「不当な取引制限」にあたるような行為をしてしまったら、刑事罰の対象になるわ。違反を行った個人に対しては、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人には、5億円以下の罰金が科されるわ。
えっ…! 個人に対して罰則があるんですか!? 厳しいですね。
ええ。それに加えて、公正取引委員会から排除措置命令や、課徴金納付命令を受ける可能性もあるわ。
う~ん、いろいろと罰則があるんですね。
私たち消費者に不利益をもたらす行為だから、談合もカルテルも、厳しく規制されているのよ。
だから、大きく報道されるんですね。今日は勉強になりました! ありがとうございます。
よかったわ。また何かあったら呼んでね~(と、風のように去っていく)
えりさんって、なんだか、いつもいきなり現れますよね…。
【不当な取引制限】
◆「入札談合」は、国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札の際に、事前に、受注事業者や受注金額などを決める行為
◆「カルテル」とは、事業者や業界団体に加入している事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為
◆
どちらも、独占禁止法によって禁止されている
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