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2018/07/10号

~キャラクター商品の企画と著作権~の巻

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可愛らしい、アニメやマンガのキャラクター。 二次利用する際の権利について、確認しましょう。

かわいいキャラクターですね。

私が大好きな、アニメのキャラクターなんです。今、商品化を企画しているので、試作品を作ってみました。

器用ですね! お客さんに配ればいい宣伝になりますし、もっと作ったらどうですか?

足尾さん、それはダメよ。

あっ、えりさん! そうですよ、そんなにたくさん作れません…。

そういう意味での「ダメ」じゃないわ。このキャラクターの商品化はまだ検討の途中よね?

はい、企画書を作っているところです。

じゃあ、キャラクターの使用について、まだ、著作権者から許諾を得たわけではないのよね。その場合、試作品を社外の人に配ることは、著作権侵害になる可能性が高いわよ。

確かに! キャラクターは「著作物」ですよね。

それじゃ、大麦さんの企画書にもこのキャラクターを載せているから、まずいですね…。

それは、問題ないわ。

え? どうしてですか?

アニメのキャラクターの商品化の企画書なのに、そのキャラクターのイメージを掲載しなかったら、わけが分からないじゃない?

うーん、判断基準がよく分かりません~。

正確に言うと、これは「検討の過程における利用」として、著作権法で明確に認められている利用方法なの。キャラクター商品の開発などを企画する際、著作権者の許諾を得ようとする者が、その検討の過程において、その著作物を企画書に載せるなど、必要な範囲内で利用することは、著作権の侵害には当たらないとされているのよ。

なるほど~。

じゃあ、「検討の過程における利用」について、ほかにどんな場合が適用されると思う?

う~ん…。えりさん、教えてください!

例えば、映像のBGMに採用する楽曲を検討する際に、許諾を得る前に実際に映像にあわせて楽曲を録音することも許されているわ。また、権利者不明の著作物については、裁定制度※を利用するかどうかを検討するために、社内の会議資料等に掲載する場合も、問題がないとされているわ。
※「権利者が誰だか分からない」等の理由で許諾を得ることができない場合に、文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより、適法に利用することができる制度。

後できちんと許諾を取る予定だから利用が許されている、ということですね。でも、企画が通らなかったら、許諾を得る必要がなくなるから、問題になるんじゃないですか?

大丈夫よ。適用される条件は、あくまでも「許諾を得ようとする者」が利用する場合だから、最終的に許諾を得るかどうかは問われないの。

そうか~。ところで、このグッズのクオリティなら、フリーマーケットに出しても売れると思うんですけど。

そんなことしたら、大麦さんが著作権侵害で訴えられるわよ。

じゃあ、僕が大麦さんのために、新しいキャラクターをデザインしてあげますよ♪

あっ…。今回は、辞退させてください…。


【著作物の「検討の過程における利用」に該当する例】
◆キャラクター商品の開発などを企画する際、著作権者の許諾を得ようとする者が、その検討の過程において、その著作物を企画書に載せるなど、必要な範囲内で利用する
◆映像のBGMに採用する楽曲を検討する際に、許諾を得る前に実際に映像にあわせて楽曲を録音する

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