商品やサービスを買ってもらうために、品質や価格などをむやみに強調している広告を見たことがありませんか?
筋野さん、チラシが完成したんですか?
いやー、われながら良いプロモーション用チラシをつくったんだよ。ほら!
特別価格で買えることが強調されてますね。…でもこの商品って、たしか特別価格で買うには条件がありましたよね?
ちゃんと、条件もここに書いてあるよ!
えっ、こんな小さい文字じゃ、お客様も気づきませんよ!
筋野さん、その表示は問題になるかもしれないわ。
あっ、えりさん!
安さを伝えたいチラシだから価格を強調しているんです!特別価格が適用される条件をきちんと載せているのに、どこが問題になるんですか!?(汗)
商品やサービスの品質・価格などを訴求する強調表示に例外や制約などがあるときは、それを見た消費者が無条件・無制約に当てはまると受け止めてしまわないように、その旨を表示する「打消し表示」を分かりやすく適切に示さなければいけないの。例えば、打消し表示の文字が小さかったり、強調表示から離れたところに配置するのは、表示方法に問題があるわ。
このチラシは条件を説明する文字が小さくて、表示方法に問題がありそうですよね。
そうね。このチラシを見た人が、打消し表示の内容を正しく認識できずに、商品やサービスの内容が他と比べて著しく優良・有利と誤認した場合、景品表示法違反にあたる可能性があるの。
うーん…。そう言われると、たしかに小さくて読みにくいな。でも、特別価格を強調しつつ、その条件を誤解なくお客様に伝えるにはどうすればいいんでしょうか…?
説明するわね。基本的には、打消し表示を行わずにすむように、強調表示の内容について、例外や制約がないか十分検討し、強調表示の方法を工夫することが大切よ。
でも、どうしても、打消し表示をしたい場合もありますよね。
そうね。そんなときは、打消し表示を、①強調表示に近い場所に配置し、②強調表示の文字の大きさとのバランスに配慮したうえで、③消費者が手にとって見る表示物の場合は文字の大きさを最低でも8ポイント以上にし(8ポイント以上でも強調表示の大きさと差が顕著だと問題になるおそれあり)、④十分な文字間・行間余白をとり、⑤背景の色や柄で文字が見にくくないか等に配慮すること、を心がけるようにしてね。
配慮することがたくさんありますね。
ええ。やむを得ず打消し表示を行う際には、その媒体が、手にとって見るものなのか、ポスター等の離れた場所から目にするものなのかなど、消費者が実際に目にする状況において適切と考えられるような表示をする必要があるわ。それと、ウェブや動画など、広告媒体ごとの特徴を踏まえた注意も必要よ。
そういえば、最近のウェブや動画の広告でも、画面上の強調表示と打消し表示の距離や表示時間などで問題になったりしていましたよね。
確かに、お客様が打消し表示に気づかずに、商品やサービスを購入・利用してしまったら、大変ですよね…。チラシの内容、考え直します!
頑張ってね!
【打消し表示とは】
◆商品やサービスの品質や価格などを訴求する強調表示に例外や制約がある場合に、その旨を表示するもの
◆やむを得ず打消し表示をする場合は、強調表示の近くに配置し、強調表示と打消し表示の文字の大きさを顕著にしない等の配慮をする必要がある
◆打消し表示の不備により、商品やサービスの品質や価格が、他と比べて著しく優良・有利であると消費者に誤認される場合、不当表示となり、景品表示法違反に問われる可能性がある
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