誰しも、怪我はしたくないものですが、もしも、業務時間中や通勤途中で負傷してしまったら、どうなるのでしょうか?
大変! 企画部の後輩が、昨日、会社の帰りに友達と呑んでて、駅の階段を踏み外したんだって!
えっ! 怪我はなかったんですか!?
それが、派手に階段を転げ落ちたみたいで、左足を骨折しちゃったんだ。
お気の毒ですね…。早く治るといいんですが。
そうだよね。後輩は、「会社の帰り道に怪我をしたんだから、これは労災だ!」って言ってるんだけど。
うーん…。こういう場合って、労災になるんでしたっけ?
説明しましょうか?
あっ! えりさん!
えりさん。足尾さんの後輩のような場合でも、「労災」だと認められるんでしょうか?
「労災」は、「労働災害」の略称で、仕事中に怪我をしたり、仕事が原因で病気になることを指すの。従業員を雇用している会社は、「労災保険制度」に加入する義務があるから、会社がきちんと掛け金を払っていれば、従業員は保障が受けられるのよ。つまり、仕事が原因で怪我や病気をしてしまった場合に、無料で治療が受けられたり、治療費の支給が受けられたりするわ。
いい制度ですね。
ええ。それに、労災は、事業主に雇用されている者であれば、雇用形態にかかわらず、正社員以外の契約社員・派遣社員・パート・アルバイトであっても認められるわ。
正社員に限らないんですね。
そうよ。ただし、労災と認定されるためには、①業務遂行性(業務を行っている最中に起きた怪我や病気であるか)、②業務起因性(行っていた業務が原因で起きた怪我や病気であるか)が認められる必要があるわ。
業務をしている間の、業務が原因の怪我や病気でないとダメなんですね。
ええ。足尾さんの後輩の場合、「通勤災害」にあたるかどうかがポイントになるわね。「通勤災害」と認められるためには、a.就業に関連する移動であること、b.住居と就業場所の間であること、c.合理的な経路と方法で往復していること、の3条件を満たすことが必要になるわ。
ということは、「仕事帰りに、通勤経路を外れて、業務に関係のない飲み会が原因で転んで怪我をした」という事例は、通勤災害だと認められなさそうですね…。
えーっ!? う~ん。おっちょこちょいな奴だから、仕方ないかなぁ。
骨折してしまったのは残念ね…。しばらく大変だろうけれど、時間をかけて治すしかないわね。これからは、こんなことで悩まなくてもいいように、日々の業務の中で「安全」を意識するようにしてね。
大丈夫です! 運動部出身なので「学生時代はよく怪我した」って言ってましたから!
足尾さんが言うことじゃないですよ…(苦笑)。
【労災(労働災害)のポイント】
◆労災とは、仕事が原因で怪我をしたり、病気になること
◆労災認定されるためには、業務遂行性・業務起因性が認められる必要がある
◆実際に仕事をしている間だけでなく、通勤途中の怪我でも、労災と認められる場合がある
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